アウディA1/A1スポーツバック/S1がフルモデルチェンジを行ない、A1スポーツバックに試乗してきたのでお伝えしよう。
最新装備へアプデート
今回のフルモデルチェンジのハイライトとして感じたことは、ボディやエンジン、サスペンションといったハード系の改良より、時代の変化に伴う必要な装備系の充実にあったと思う。
時代の流れで多様化し、デジタル化されていくトレンドの中で、プレミアムコンパクトモデルに求められるものとして、運転支援システムの高度化、洗練された快適性、そしてコネクテッドなどの充実といった分野だ。
A1はBセグメントのハッチバックでは数少ないプレミアム・モデルだ。ベースのアーキテクチャーはフォルスワーゲン・グループのMQBでポロと共通のため、アウディはプレミアムらしさをデザイン、デジタル化、スポーティさをより強調する方向を選んでいる。
そうした中で新型A1はアウディスポーツクワトロをインスパイアーし、ボンネットの先端に3穴のダミー・エアインレットを設け、ワイド感のあるフロントフェイスの踏ん張りなど力強さを強調したデザインになっていた。
S Lineとアドバンスをテスト
試乗エリアはいつもの箱根で、ワインディングでの試乗。A1には「35 TFSI」と「25 TFSI」の2モデルがラインアップしているが、試乗のタイミングでは「35 TFSI」のみの試乗だった。エンジンスペックは1.5Lターボで150ps/250Nmの出力。そしてシリンダーオンデマンド、つまり気筒休止システムを装備したエンジンだ。ちなみに1.0Lエンジンのエントリー・グレードとなる「25 TFSI」は、2020年の第二四半期に国内導入予定ということだ。
その35 TFSIにはアドバンスとSラインの2グレードがあり、その両方に試乗できた。
ボディはアウディらしく精緻な組み立て精度が際立ち、プレスラインがピタリと揃ったボディは美しい。シングルフレームのフロントグリルも厚さを増し、オマージュしたクワトロスポーツのエアインレット、左右のフォグランプの位置からバンパー下部をブラックアウトしたデザインなど迫力がある顔になった。
インテリアは液晶のメーターパネルとナビ画面があり、ドライバー側へオフセットしたセンターコンソールと合わせてドライバーオリエンテッドなレイアウトになっている。またエクステリアと連動するように、直線の強いインテリアデザインで、きっちりとした印象を受けるダッシュボード周りだ。さらにタッチスクリーン式液晶ディスプレイを採用したことでスイッチの数が極端に少なくなり、先進的なインスツルメントパネルになっている点も新しい。
走り出すと7速Sトロニックが組み合わされ、DCTを強調するかのように、タコメーターの針は小気味よく動く。Sラインにはパドルシフトが装備されるので、より軽快にシフトチェンジができ、攻めた走りも楽しめた。
しかし、慣らし運転が少ないためかダンパーの硬さが少し気になったが、馴染んでくるとそうした硬さはなくなると思う。タイヤはアドバンス、Sラインともに17インチサイズを装着し、先代では18インチサイズがあり、オーバークオリティだと感じた乗り心地も、今回はそこまでルックスに拘った仕様にはしていないのは好ましい。
乗り味の点では、スポーツ・サスペンション仕様のSラインの方がベースモデルのアドバンスより洗練されているように感じられた。
エンジンスペックは驚くような内容ではないが、コンパクトなボディのA1には過不足なく気持ちよく箱根のワインディングを走ることができた。また低回転からもトルクが立ち上がり、標高の高いワインディングでも全域で気持ちよくエンジンは回わっていた。
デジタルライクな操舵フィール
FFモデルのA1のハンドリングは、エクステリア、インテリアデザインと連動するかのようにかっちりとしたフィーリングで、「まろやかさ」とか、「しなやかさ」といった曖昧な形容詞が使いにくく、はっきりとした操舵フィールだ。
アウディはそもそも、そうした直線的なデジタルライクなハンドリングの印象があり、新型A1もそうしたベクトルで制御されている。したがって、操舵信号に対する正確な反応とそのフィールを好むユーザーには、安心感や手応え感として伝わっていくだろう。