アウディは2016年8月17日、油圧式ショックアブソーバーを廃した次世代サスペンション「eROT」のプロトタイプを公開した。電気モーターがショックの変わりを担う次世代サスペンションだ。
従来の油圧式ショックに比べて電気モーターの場合は反応が早く、路面の凹凸やドライバーの運転スタイルに理想的に対応できる。ダンパー(電気モーター)の特性はソフトウェアで自由に変えることができるため、あらゆる機能を統合的に制御することが可能だ。
例えば、伸び側と縮み側のストロークを独立して設定することもでき、伸び側の減衰力は硬めに設定しつつ、乗り心地への影響が大きい縮み側のストロークは、よりソフトに設定することも可能。それから、油圧式と比べて配置の自由度が高いため、ラゲッジスペース容量の向上にもつながる。
また、サスペンションが上下するときの慣性エネルギーを電気エネルギーに変換することも可能。ドイツで行なわれた公道テストでは、舗装状態の良い高速道路で3W、路面の荒れた一般道ではXX613W、平均100~150Wを回生することができたという。一般のドライバーが運転した場合、CO2排出量が1km走行あたり最大3g削減される計算になる。
現時点で非常に有望なテスト結果が得られており、将来のアウディに採用される可能性が高いという。しかし、このシステムには48V電源システムが必要。その電源の導入が予定されている2017年のアウディ次世代モデルの登場がキーとなりそうだ。