アウディ本社は2020年12月2日、2022年に開催されるクロスカントリー耐久ラリー「ダカール ラリー」に革新的なプロトタイプのハイブリッドカーで参戦すると発表しました。
このプロトタイプは、電動ドライブトレーン、高電圧バッテリー、高効率な発電用エンジンを組み合わせた駆動システムが初採用されています。このクロスカントリーラリーへの参戦は、将来のファクトリー体制によるモータースポーツへの取り組みの先駆けとしています。
取締役会会長・兼テクニカルデベロップメント&プロダクトライン担当取締役のマルクス ドゥスマンは、「モータースポーツへの多角的な取り組みは、アウディの事業戦略における不可欠な部分であり、今後も継続的に実施します。私たちは、国際的なトップレベルのモータースポーツにおいてブランドのスローガンである“Vorsprung durch Technik”(技術による先進)を示し続け、量産車向けの革新的なテクノロジーを開発したいと考えています。世界で最も過酷なラリーは、そのための完璧な舞台となるでしょう」と語っています。
アウディにとって国際的なラリーへの参戦は1981年の世界ラリー選手権から始まり、アウディとクワトロのブランドを確立する原動力になっています。
アウディが、究極のラフロードの中を走るダカールラリーに挑戦するプロトタイプは、パワフルな電動ドライブトレーンによって駆動されることが最大の特長です。
駆動エネルギーは高電圧バッテリーから供給され、きわめて効率的なTFSIエンジンを発電用として使用することで走行中に必要な電力を確保するハイブリッドカーです。目標は、今後の2年間で、電動ドライブトレーンとバッテリーの性能をさらに改善することになっています。
いうまでもなくアウディはダカールラリーにこうした電動ドライブ コンセプトで参戦する最初の自動車メーカーとなります。これまでにル・マン24時間レースにおいてハイブリッド レーシングカーで初優勝したほか最終モデルのR18 e-troでは3連覇を達成しています。
また2014年からは電気自動車によるレースシリーズ、フォーミュラEでも活躍しています。アウディは、早ければ2025年には電気自動車とプラグインハイブリッドが販売台数の約40%を占めると予測しています。
アウディが過酷なモータースポーツに電動モデルで挑戦する理由として、こうした企業目標が前提になっているわけです。
ダカールラリーのレギュレーションでは、プロトタイプ クラスは搭載する技術に関して大幅なな自由度が認められているため、アウディにとって最高の試験場と位置付け、それゆえにファクトリー体制で参戦するわけです。
なおアウディがフォーミュラEにファクトリーチームとして参戦するのは、2021年シーズンが最後となり、アウディが開発した新しいパワートレーンは、22年以降はカスタマーレーシングに供給されることになります。