【アウディ IAA】700psの「スポーツ クワトロ コンセプト」がベールを脱ぐ フランクフルトモーターショー2013

30年前の「クワトロ・スポーツ」の後継モデルとされる「スポーツ クワトロ コンセプト」

2013年9月4日、アウディはフランクフルトモーターショーでかつてのスーパーマシン、「スポーツ・クワトロ」30周年を記念し、モータースポーツ・テイストを色濃く反映させた後継マシン「スポーツ クワトロ コンセプト」を出展すると発表した。

アウディブランドと4WD技術のクワトロは切っても切れない関係にあることは言うまでもない。「スポーツ・クワトロ」の30周年記念として、アウディはフランクフルトモーターショーでその正統な後継モデルを発表することになった。「スポーツ クワトロ コンセプト」はクーペデザインを纏い、システム出力700psを発生するプラグインハイブリッドシステムを搭載。クワトロの伝統を受け継ぐモデルとされている。

アウディはクワトロはただの技術ではなく、哲学だとしている。1980年のオリジナルクワトロのデビュー以来、アウディは500万台以上の4WD車を販売して来た。この実績は世界の他のどのプレミアムメーカーもはるかに上回る台数だ。今日まで30年以上にわたり示されてきたクワトロ・コンセプトの優位性とモータースポーツにおける数々の成功も忘れることはできない。

アウディの伝説的なモデルのひとつが、世界ラリー選手権のホモロゲーションモデルとしてデザインされ、1983年のフランクフルトショーで発表されたスポーツ・クワトロだ。このスーパーマシンは306psを発生し、多くの革新技術を搭載した当時のスーパーカーだ。ハンドリングに磨きをかけるショートホイールベースにより、スポーツ・クワトロに特別なフォルムを与えることになった。この競技車はモータースポーツの歴史に1ページを刻んでいる。

■エクステリアデザイン
「スポーツ クワトロ コンセプト」はアウディのこの伝統を今日に甦らせ、また3年前の「クワトロ コンセプト」のスタディモデルに初めて取り入たアイディアも再び盛り込まれている。このクーペは、オリジナルモデルのDNAとエレガンスさを融合。走りはパワフルで力強い挙動を象徴するように21インチタイヤを採用。オーバーハングは短く、プロポーションはあくまでスポーティだ。ボディサイズは全長4602mm、ホイールベース2784mmだ。2シーターのこのモデルの全幅は1964mmで、一方、車高はわずか1386mmと低く抑えられている。「スポーツ クワトロ コンセプト」はかつてのモデルと同様にレーシングスピリットに基づいてデザインされ、デザインのためのデザインではない。

細部のデザインは技術に基づいており、またその幾つかは1980年代初めのモデルのオマージュとしてデザインされている。鋭いフラットなCピラーや、アウディの画期的なマトリックスLED技術が使われている長方形のダブルヘッドライトなどがその例で、これらは近い将来、量産モデルに採用される予定になっているという。ヘッドライトの内部には2つのフラットな構造が見える。横まで回り込んだデイタイムランニングライトと中央のロービーム、そしてアウディ・マトリックスLEDがスポーティで引き締まった外観を作り出している。ヘッドライトとテールランプは軽量構造を採用。またヘッドライトではデザイン性よりもLEDの放熱板を露出させることを優先し、テールランプはガラス面やハウジングを最小限に抑えている。

アウディマトリックスLEDヘッドライトのLEDハイビームユニットは多量のダイオードから構成される。上側のレンズとリフレクターと連携して作動する個々のLEDにより常に優れた照明が得られ、走行条件に合わせてアクティブに変化する。多数のLEDを使用した構造のため、配置、サイズ、ヘッドライトのデザインなどの可能性が広がっていることにも意義がある。

デザイン的オマージュとしてフェンダー上のブリスターも設けられている。アウディのデザイナーはこれらのラインに新しい解釈を加え、力強く際立たせている。ボディはよりエモーショナルで、がっしりとしたフォルムとされ、筋肉質のボディはシャープな輪郭で形成される。ボンネット、フェンダー、側面のデザインが「スポーツ クワトロ コンセプト」のアスリートとしてのキャラクターを決定付けている。

コンセプトカーのフロントは、レースの世界で使われている6角形のシングルフレームグリルが特徴だ。グリルの下部は垂直、上部はボンネットのラインの流れに合致させている。2つの大きなブレードがエアインレットを際立たせ、そのブレードのラインがボンネット上の筋に続く。このフロントグリルはアウディの新しいデザイン哲学を象徴しており、スポーティな生産モデルの今後のデザインの方向性を示しているという。

リヤ部のプロポーションは、フラットでなグリーンハウスとワイドなショルダーセクションとのコンビネーションがデザイン要素となり、リヤスポイラーが、車両の幅広さを強調。またこのモデルのリヤにおけるもう1つの特徴は、大きく上方に伸びたCRFP製のディフューザーだ。シングルフレームグリルと同様その上部はハニカム構造となっており、下部には2つの大きなオーバルのテールパイプを配置。スポイラーは、高速になるとリヤハッチからライズアップする。フロア面を堅固なクロスビームで補強をしたラゲッジルームの容量は、300L。

「スポーツ クワトロ コンセプト」のダイナミックな外観に加え緻密なディテールが盛り込まれているサイドシルはCFRP製、パワードアハンドルは手を近づけると自動的に手の方に動き出す。フロント、リヤ、前タイヤ後方のエアアウトレット、Cピラーにはフォーリングスを配置。

■インテリア: モータースポーツとエレガンスの融合
エレガントでスポーティというコンセプトは、「スポーツ クワトロ コンセプト」のインテリアに適用されている。広いキャビン内は、ダークグレーの色調に囲まれている。またインテリアはドライバーオリエンテッド・デザインで。ステアリングホイール、デジタルインスツルメントクラスター、ヘッドアップディスプレイはすべて視界に入るように配置。ダッシュボードのラインはドライバーと助手席両方を包み込むように流れ、ドアハンドルなどのすべてのエルゴノミクス機能も融合されている。

アウディの特徴である軽量構造は、デザイン、素材にも反映され、スリムなダッシュボードはグライダーの翼を連想さる。インテリアのトリムはカーボンシェルで出来ており、サイドドアの収納スペースもカーボン製だ。

スポーティなレーシングバケットシート、一体型のヘッドレスト、そしてフルリヤシートにより4名の乗車が可能で、リヤシートへはフロントシートバックを倒して乗り込む仕組みだ。リヤシートの後ろにたクロスビームが取り付けられ、ボディの剛性を高めている。

細部への徹底したこだわりは、材質とクラフトマンシップに満ちた仕上げに現れており、これらは今後のスポーティな生産モデルにも採用されるという。

「スポーツ クワトロ コンセプト」のインテリア。今後の市販も出るにも反映されるデザイン

コンセプトカーのもう1つの特徴は、すべての重要な情報が完全デジタルのインスツルメントパネルに表示されることだ。マルチファンクション・スポーツステアリングホイールのスイッチで、バーチャル3Dディスプレイの数々の表示を切り替えることができる。中央のスピードメーターにトラックインフォメーション、ストップウォッチを含むレースモードや、数々のサーキットの詳細が入ったセットアップモードなどを選ぶことができる。さらに、アウディ独自のMMIコントロールユニットのタッチホイールは、情報を簡単に入力することも可能。

さらなるハイライトは革新的な空調コントロールユニットで、エアベントと直接連携している。温度、風量、風向はすべて1個のスイッチでコントロールすることができる。

■パフォーマンス:プラグインハイブリッドドライブ
「スポーツ クワトロ コンセプト」はプラグインハイブリッドを採用している。システム出力は700ps、システムトルクは800Nm だ。パワーは、改良された8速ティプトロニックから、リヤアクスルのスポーツディファレンシャルに伝達される。平均燃費は2.5L/100km で、CO2排出量は59g/km。

エンジンは4.0L・V8ツインターボを搭載。出力560ps、トルク700Nmを発生する。低負荷時には4気筒を停止させる気筒休止(COD )システムとスタートストップシステムを備えている。この4.0 TFSIエンジンとトランスミッションの間にはディスク形状の電動モーターが装備され、出力110kW、トルク400Nm を発生する。リヤに搭載された液体冷却型リチウムイオンバッテリーの容量は14.1kWhと大きい。この電力のみで50km の走行が可能だ。

そしてドライビングモードは3種類あり、EVモード、ハイブリッドモード、最大のパフォーマンスを発揮するスポーツモードを採用している。EVモードは電動モーターのみが作動し、最大出力110kW、最大トルク400Nm の出力により街中でも郊外でも走行可能。アクセルペダルによりドライバーは意識的にEVモードとハイブリッドの切替えを行なうことができる。

ハイブリッドモードは、燃費向上のために走行条件、交通状況を検知してモーターとエンジンの最適な稼働バランスが計算され実行される。ナビ作動時はより効率的な経路が利用される。このモードではカスタマイズも可能だ。ドライバーが一定量の電力ジを保持したい場合、または特定のルートを電力のみで走行したい場合など「ホールド」や「チャージ」機能を使用することができる。

スポーツモードは、最大のパワーとパフォーマンスを引き出すことができる。電動ブーストがあらゆるドライビングの状況下でエンジンをサポート。エネルギーマネジメントシステムはバッテリーに常に十分な充電がされているか確保する。V8エンジンとモーターの同時作動時では、「スポーツ クワトロ コンセプト」の0-100km/h加速は3.7秒、最高速度は305km/h だという。

「スポーツ クワトロ コンセプト」は徹底した軽量構造を採用している。骨格はアルミ材と超高張力鋼板を結合。ドア、フェンダーはアルミニウム製。ルーフ、エンジンフード、リヤハッチはカーボンファイバーで強化された樹脂製。これらにより、大型バッテリーパックを含む車両重量は1850kgとなっている。

コンセプトカーのフロントサスペンションは5リンク式、リヤサスペンションはトラペゾイダルリンク式だ。ダイナミックステアリングは車速によりギヤ比が変化する。ブレーキキャリパーは大口径のカーボンファイバーセラミックブレーキディスク製、タイヤサイズは285/30R21を装着している。

なお、アウディはフランクフルトショーには、発売間近のA3スポーツバック e-tron、メルセデスSクラスAMGモデルを圧倒するスーパープレステージカーのA8 W12 6.3 クワトロなど多数のニューモデルを出展する。

W12気筒を搭載するスーパープレステージカー、A8 L W12 6.3 FSI クワトロ

 

 

 

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