2013年1月16日、アウディジャパンは同社のラインアップの頂点に位置する「A8」と、ミッドサイズSUV「Q5」 の2モデルにハイブリッド仕様を追加した。2012年9月に発売を開始した「A6 hybrid」 と合わせ、アウディのハイブリッドシリーズが完成したとしている。発売は2月1日から。
■アウディA8ハイブリッド
A8ハイブリッドは、軽量で高いボディ剛性を備えるアルミニウムボディ「ASF(アウディ スペース フレーム)」など、A8の革新的テクノロジーをそのまま採用。その一方でパワーユニットには最高出力211ps、最大トルク350Nm を発生する直噴/ポートデュアル噴射+ターボ+可変バルブリフトシステムを持つ4気筒2.0TFSIエンジンに、 40kW (54ps) 、210Nm を発生する永久磁石同期型モーター(駆動用モーター、スターター、また減速時にはジェネレーターとして機能する)を組み合わせたパラレル式ハイブリッドとしている。これらのユニットはA6ハイブリッドとまったく共通だ。性能的にはV6型エンジンと同等のパワー、4気筒ユニットの経済性を両立したモデルとなる。なおハイブリッド用のコンポーネントは約130kgだという。
高効率を誇るハイブリットシステムの総合出力は180kW (245ps)、480Nm 。バッテリーは容量1.3kWh 、出力39kW 、最高電圧266Vで、重量38kgという軽量・コンパクトなリチウムイオンバッテリーをリヤのトランク下側に搭載する。トランスミッションは8速ティプトロニックATで、トルクコンバーターの代わりにモーターとクラッチが一体になったハイブリッド・ユニットにより前輪を駆動する。
モーターのみで走行するEVモードも選択可能で、EVモードでは最高100km/h、60km/hでの走行距離は最長3kmとされる。燃費は13.8km/L( JC08 モード)。一方0-100km/h加速はわ7.7秒、最高速度235km/hという動力性能を備えている。ハイブリッドの走行モードは、5 種類の作動モードを持っている。すなわちエンジンのみでの走行、モーターのみでの走行、ハイブリッドモードでの走行、減速エネルギー回生、加速時のブーストモードだ。またアクセルオフ時には160km/hまでは無動力走行もできる。
シャシーは標準のA8と共通で、ドライブセレクトダイナミックハンドリングシステム、ダンピングコントロール機能が付属するアダプティブエアサスペンションが標準で装備となっている。また室内の静粛性を高めるためアクティブノイズコントロールも採用されている。パワーステアリングは電動式になり、最新の電気機械式を装備している。
■アウディQ5ハイブリッド
Q5ハイブリッドは標準のQ5の特長はそのままで、A8ハイブリッドと同様の155kW(211ps)を発生する4気筒2.0 TFSIエンジンと、出力40kW(54ps)のモーターを組み合わせたハイブリッドモデルだ。システム総合出力は180kW(245kW)、トルクは480Nm。8 速ティプトロニックATにトルクベクタリング付きクワトロシステムが組み合わされる。つまりアウディのハイブリッドモデルの中でQ5ハイブリッドは唯一のクワトロ仕様になっているのだ。
車両後方に積載されるリチウムイオンバッテリーの定格容量は1.3kWh で、負荷の状況によって2種類の空冷/水冷の冷却方法を使い分ける。EVモードでの最高速度は100km/h、60km/hの定速による航続距離は最大3km。このパワートレーンは、エネルギー回収およびブースティング機能も備え、燃費は12.7km/L(JC08 モード)。また動力性能は0-100km/h を7.1 秒で加速、最高速度は225km/hとなっている。
ハイブリッドシステムの作動モードなどはA8ハイブリッド、A6ハイブリッドと共通になっている。Q5も新しい電機機械式パワーステアリングを標準装備し、トルクベクタリング、ESPと協調し自動カウンターステアも行われる。
■アウディジャパンの2013計画
2013年1月16日に行われた発表会で、アウディジャパンの大喜多寛社長は2012年の販売状況と2013年の販売計画などを発表した。まず2012年はアウディ社は全世界で145万5000台を販売し、前年比で11.7%の伸張を記録したという。世界販売におけるドイツ・プレミアムブランドでの比較ではBMWがトップ、僅差でアウディ、3位がメルセデスとなっている。しかし、ヨーロッパにおいてはアウディが販売台数ナンバーワンになったという。
日本国内においては、2012年は国産車とは異なり輸入車は大幅な伸びを記録したが、アウディは前年比14%アップの2万4163台と特に著しい伸びを記録した。アウディの場合、中でもA6、A8というDセグメントが大きく伸びているのが特徴だ。さらに認定中古車も6000台の販売実績となり、2008年比で2倍となっている。このような実績をベースに2013年はさらに販売台数を10%アップさせ、2万6000台超えを狙うとしている。
ユーザーコミュニケーションの手段として、モータースポーツ、ゴルフ、全日本代表サッカーを重点にして協賛を行い、またザッケローニ監督、競馬の武豊騎手、指揮者の佐渡裕氏、レースドライバーのA.ロッテラー選手、プロゴルファーの上田桃子選手と石川遼選手をアウディ・アンバサダーとし、スポーティ、洗練、先進性というブランドイメージの浸透を図る計画だ。また2013年は改めてアウディの技術特徴である「クワトロ」の訴求も推進するという。また販売店も5店舗増加し、全国で109店舗とし、常時展示20台クラスのメガ店舗も拡充して行くという。
さらに、3月頃には新型「R8」の発売を予定していることも発表された。