市場投入から4年が過ぎたアウディTTだが、この度搭載する2.0FSIエンジンを改良した。もともと斬新なデザインであり、TFSIという直噴ターボエンジンにSトロニック=ツインクラッチ、そしてASF=アウディ・スペース・フレームという軽量かつ高剛性なボディ、クワトロシステムという4WD機能など、ハイスペックなテクノロジーを持つコンパクトスポーツカーである。
商品改良の最大のポイントは、TTクーペ、TTロードスターに搭載される20.TFSIエンジンにAVS=アウディ・バルブリフト・システム(可変バルブタイミング&リフト)を採用し、大幅な出力、トルク向上を果たしながら、燃費も改善したことだ。
新エンジンの最大出力は211psで従来より+11ps、最大トルクは350Nmで+70Nmと出力アップしている。AVSは、V6エンジンに続き4気筒TFSIに順次展開されており、4気筒版はQ5が最初であった。TFSI用のAVSは排気カムシャフトにこの可変バルブタイミング&リフト機構を装備し、バルブリフトはロー側が6.5mm、ハイ側は10.0mmで、3000rpmでソレノイドバルブが作動しピンにより切り替えられる。なお、ローリフトでは排気遅開き、吸気早開きとなりポンピング損失を低減するように働く。そして、このシステムは出力アップにも効果を発揮することは言うまでもない。
0-100km/h加速は5.6秒、従来比0.6秒の短縮している。一方の燃費では、12.0km/Lから13.2km/Lへと10%向上し、CO2排出量も193kg/kmから176kg/kmへと低減している。そして、これまでFFであったTTロードスターはクワトロへと変更されている。
エクステリアでは、ポジショニングランプが待望のLEDランプが採用され、さらにフロント/リヤバンパーが変更され、2本出しのエキゾーストパイプになった。また、グリルデザインも変更されている。
インテリアデザインでは、標準装備のカーナビが進化している。個々の車両から位置や速度情報などを収集するプローブ情報を利用したより細かな渋滞情報の取得が可能となったほか、Googleマップ「ローカル検索」が利用可能となっている。
AutoProveのひと言
TTはデザイン重視のスポーティモデルとイメージされがちだったが、今や性能面でも本格的なスポーツカーというにふさわしいレベルに到達した。全モデルがクワトロシステムを備え、スポーツカーの走りとスタビリティの高さを両立させている。
文:編集部 高橋明