アストンマーティンは11月21日、ブランド史上最高の販売台数を記録したモデルの後継車、新型ヴァンテージ(Vantage)を初公開した。さらに、アストンマーティン・レーシング(AMR)から、新しいレースモデルとなるヴァンテージ GTEも発表された。
これは、AMRのチーム史上最も華々しい成功を収めたモデルとして、ル・マン24時間でも複数のクラス優勝を遂げたV8 ヴァンテージ GTEに代わり、今後FIA世界耐久選手権(WEC)を戦うことになるクルマだ。
FIAにより厳密に規定されたGTEクラスのレギュレーションに従って設計された新しいヴァンテージ GTEは、パワートレイン、シャシー、エアロダイナミクスを徹底して最適化することで、ロードカーである新型ヴァンテージのデザインと運動性能を、かつてないレベルにまで昇華させている。新型ヴァンテージはまだ発表されたばかりだが、新しいヴァンテージ GTEの開発はすでに大きく進展している。これまでに13000kmの走行テストが完了し、そのなかにはスペイン・ナヴァーラのサーキットでの30時間連続走行も含まれている。ヴァンテージ GTEのテスト車両はまた、路面状況が厳しいことで定評のある米国フロリダ州のセブリング・サーキットでも、過酷な耐久試験に供された。テスト・プログラムには、アストンマーティン・レーシングに現在所属するプロドライバー全員が参加している。
このような走行試験を通じて、新しいヴァンテージ GTEの卓越した信頼性が、ごく短期間のうちに立証されることになった。同時に複数のドライバーから、新しいヴァンテージ GTEは従来のV8 ヴァンテージ GTEよりも限界域でのコントロール性が優れているという報告もなされていると言う。プロに交じってトップレベルのアマチュアドライバーも多数参戦するGTE Amクラスにおいては、こうした特性は大きな強みとなるはずだ。ヴァンテージ GTEに搭載するためにアストンマーティン・レーシングによって改良されたメルセデスAMG製ターボチャージャー付き4.0L V8エンジンは、アストンマーティン・レーシングのエンジニアとワークスチームのドライバーが協力して集中的な作業を行い、ドライバビリティとパフォーマンスの最適化に取り組んだ。
また、アストンマーティン・レーシングは今回の開発を通じて、新しいテクニカルパートナーと協力関係を結んでいる。ブレーキシステムについてはアルコンが、サスペンションに関してはオーリンズが、専用タイヤの開発に関してはミシュランがそれぞれパートナーとなって、ヴァンテージ GTEがその持てるパフォーマンスを最大限発揮できるようノウハウを結集。
デビュー後は、従来のモデルを上回る活躍を見せてくれることだろう。