【アルファロメオ】遂に国内上陸 アルファロメオ「4C」。驚きのパッケージを詳しく解説  

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コンパクトサイズのミッドシップ・ピュア・スポーツカー「4C」

2014年5月27日、フィアット・クライスラー・ジャパンは、アルファロメオが新開発したコンパクトサイズの新型ミッドシップ・スポーツカー「 4C」と、100台限定の導入限定仕様「4C Launch Edition」を、7月1日から発売すると発表した。

◆パッケージ

新型車「4C」は新エンジン、カーボンモノコックを採用したアルファロメオ初のミッドシップ・ピュアスポーツカーとなるが、1930年代のスポーツカー「8C」、1940年代の「6C」に代表される同社の傑出したスポーツカーの伝統を現代に再構築したモデルである。

「4C」は4気筒エンジン搭載のスポーツカーを意味し、もちろんその4気筒は当然ながら「1750」でなければならないが、4Cに搭載されたのは従来の1750エンジンではなく全面的に生まれ変わったオール・アルミ製の直噴ターボである。

4Cのコンセプトカーは2011年のジュネーブショーで披露され、2013年のジュネーブショーで市販モデルとしてワールドプレミアが行なわれてきたモデルだ。

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左からアルファロメオ・エクステリア・チーフデザイナーのアレッサンドロ・マッコリーニ氏、フィアット・クライスラー・ジャパンのポンタス・ヘグストロムCEO、長澤まさみさん、4Cチーフエンジニアのドメニコ・バニャスコ氏
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アルファロメオのキャンペーンのミューズ(女神)役の長澤まさみさん

 

4Cのエクステリアは立体的で彫刻的であるとともに、セクシーな曲面を多用した官能的、肉感的で、エモーショナルなデザインだ。もちろんスポーツカーの伝統、歴史もデザインに反映され、どこか懐かしい匂いも感じることができる。1967年のレーシングカー「Tipo33」の公道バージョン、「Tipo33/2 Stradale」がデザインモチーフになっているのだ。

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ボディサイズは、スーパーカーのパッションを備えながらも、できるだけコンパクトにまとめられ、日常性が与えられている。全長3990mm、全幅1870mm、全高1185mm、ホイールベース2380mmで、ミッドシップのためリヤのエンジン後方に110Lのラゲッジスペースが設けられている。

全長は4mを切り、ショートホイールベースでありながら4Cのトレッドはフロント1640mm、リヤ1605mmで、極端なショート&ワイドのスタンスである。また全高も1200mmを切り、圧倒的なローポジションであることもわかる。

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パワーユニット、トランスミッションはミッドに横置き搭載で、FF用のユニットを使用しているが、前後の荷重配分は40:60で、ミッドシップとして最適な配分としている。

4Cの開発コンセプトについて、チーフエンジニアのドメニコ・バニャスコ氏は、「妥協のないスーパーカーでありながら手の届く理想的な存在とすること」を開発コンセプトに掲げている。

目標は、パワーウエイトレシオ4kg/ps以下、ボディ重量1000kg以下(乾燥重量950kg)、前後荷重配分40:60、0-100km/h加速5秒以下、加速G:1.1G、ブレーキ減速度:1.25Gといった明確な指標を挙げ開発したという。

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アルファロメオ4Cの生産拠点はイタリア・モデナのマセラティ工場だ。同工場内にボディシェルと組立の作業を行なう4C専用のワークショップを新設している。その一方、テストや仕上げはマセラティと共用している。この完成車テストは静的な機能テストに加え、経験を積んだ専門のドライバーにより40kmの路上テストが行なわれるのだ。つまりマセラティと同様に、先進技術を駆使しながらも最高レベルの職人によるクラフトマンシップが発揮され、これらは4Cに大きな付加価値を与えているといえる。

◆ボディ

開発目標を実現するため、シャシーはアルミ。ごく一部がスチール製で、メインのモノコック部はピラーを一体化したバスタブ型のオールカーボン製としている。そしてボディパネルはSMC樹脂製だ。

ちなみにカーボン・モノコックの製造はアドラープラスチック社製で、6台のモノコックが収納できる超大型オートクレーブを使用して加熱成形を行なっている。オートクレーブによる製造ということはカーボンの素材はレーシングカーの多くがそうであるように、レジン樹脂含浸タイプのプリプレグカーボンを使用する。4Cはプリプレグ・カーボンを素材とし、オートクレーブで成形するカーボン・モノコックの採用は量産車としては初となる。

なおボディ全体でのカーボンの使用重量は10%、使用率は25%。またオートクレーブを使用するカーボン・モノコックの生産は、年間1000台、最大で3500台分を前提としているという。

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プリプレグカーボンを使用しオートクレーブで加熱成形されるカーボン・モノコック
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カーボン・モノコックの前後にアルミ製フレームが締結される

一方、ルーフ補強のロールバーや前後のフレームはアルミニウムを採用している。独自の断面形状を備え、生産には革新的な「コバプレス」工法を採用している。この製法は、鋳造と鍛造の利点を兼ね備えたもので、アルミニウム合金の圧縮度を高めることで高強度化、軽量化ができ機械的特性を高めている。溶接は、コールドメタルトランスファー(CMT)による連続ワイヤープロセスを採用し、溶接精度を向上。

細部ではブレーキのセンターベルもアルミ製で、鋳鉄ディスクと組み合わせている。ベル部とディスクはラジアルピンで結合され、ハードブレーキが連続してもディスクにおける熱ひずみの発生を抑制することができる。

ボディパネルは低密度のSMC複合樹脂製で、軽量さと高い可塑性を備えている。こうした加工しやすい素材を使用することで立体的、彫刻的なボディデザインが実現されている。さらにガラスも一般的な乗用車用より10%薄くされ、重量は15%削減。フロントウインドウのあわせガラスの厚さは4mmとしている。

ボディのエアロダイナミクスの開発にも長い時間がかけられ、Cd=0.33、揚力係数は-0.05とダウンフォースを発生させる一方、リヤのエンジンルームの通風性能、冷却性能も十分に考慮されている。

◆エンジン&トランスミッション

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4Cには200気圧の筒内直噴システム+ターボを採用した新型1750直噴ターボエンジンが初搭載されている。排気量当たりのトルクと出力は200Nm/L、137ps/Lとこのサイズのエンジンとしては新記録となる。最高出力は240ps(177kW)/6000rpm 、最大トルクは350Nm/2100~4000rpm とワイドで、しかも1800rpm の低回転から最大値の80%を発生するため、優れたフレキシビリティとスポーツ性を生み出している。0~100km/h加速は4.5 秒、最高速度は250km/hオーバーとなっている。またニュルブルクリンク北コースのラップタイムは8分4秒をマークしているという。

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ドライビングの喜びを高揚させるエンジンサウンドは、低音域の昔ながらのエキゾーストノートを強調したものだ。その一方で、直噴システムと先進的な摩擦低減およびエネルギー損失低減テクノロジーにより、エミッションレベルはユーロ6を大きく下回るレベルを達成している。

1750直噴ターボエンジンは、従来の1750エンジンに比べて22kg軽量化されたセミクローズドデッキ式のアルミブロックとし、最適化された専用の吸気・排気システムを搭載。さらに連続可変式デュアルバルブタイミング機構、レスポンスの優れたターボチャージャー、ターボラグを低減するため必要なタイミングで吸気吹き抜けさせ、ターボのレスポンスを高めるスカベンジングコントロールシステムを採用している。

ターボチャージャーも最新世代で、耐熱温度1000℃のマイクロキャストスチール製とし、低回転域でのレスポンスを向上させるパルスコンバーター式エキゾーストマニホールドと組み合わせられている。またターボの軸受けを保護するために、アフターラン電動水冷ポンプを装備し、高負荷の走行後は約10分間、電動ポンプが自動運転されるなど、スポーツ走行での耐久信頼性を高めているのも本格スポーツカーらしい点と言える。

トランスミッションは、すでに他モデルに採用されている、アルファTCT、つまり乾式デュアルクラッチ式DCTだが、4Cは専用のソフトウエアを採用している。スポーツカーであるため変速速度を重視し、ダイナミック、レースの2モードでは0.135秒という高速変速を実現。さらにレースモードではローンチコントロール(急発進用)も装備している。

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カラー液晶式メーターディスプレイは、DNAのモードに合わせて表示色や表示項目が変化する

4Cはもちろんドライブモードを切り替えできる「DNA」を備えている。これまでの「DNA」はダイナミック(スポーツ)、ナチュラル(標準)、オールウェザー(滑り易い路面用)の3モードだったが、4Cはさらにサーキット走行向けのレースモードを加え4モードとなっている。

スイッチ自体は従来と同じ3ポジションのため、レースモードはダイナミックモードにしてさらにスイッチを数秒間長押しすると切り替わる。レースモードでは、エンジンのレスポンスや変速は最速となり、同時に電子制御のシャシー制御領域は最小限となる。唯一、ABSが作動するような状況で初めてESCが介入する。一方で、電子制御デファレンシャルロックの機器は最大限に強められる。

ダイナミックモードの場合は、アクセルが早開き特性になり、トランスミッションが高速動作モードでギアシフト時間が最大25%短縮される。またESCは一定角度のドリフトを許容し、舵角とドリフト角の関係が危険な状態に達したときだけ介入するようになっている。

ナチュラルモードでは、ギヤシフト制御の設定は滑らかさを重視した設定となる。またマニュアルモード時は、エンジン回転数が許容限界に達すると、自動アップシフトする機能と、エンジン回転数が1000rpm 以下になるとダウンシフトする機能が加わる。また、電子制御式デファレンシャルロックはソフトモードに設定される。

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最後部のトランクスペース。スーツケースが入るほど深い
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運転モードを切り替える「DNAスイッチ」

 

◆シャシー

4Cのサスペンションは、フロントがインホイール式ダブルウィッシュボーン、リヤはサスペンションの取り付けスペースが厳しいためストラット式となっている。

フロントのダブルウィッシュボーンの取り付けはレーシングカーと同様にカーボンモノコックにダイレクト止めされ、取り付け剛性はきわめて高い。リヤのストラットは、スプリングをオフセット取り付けとし、ストラットにかかる横力を抑えている。またロアアームは超ワイドスパンとなっており、ストロークに対して穏やかなアライメント変化にするなど細部までこだわった設計だ。

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フロント・サスペンションはモノコックに直付け、リヤはアルミ製フレームに取り付けられている

ステアリングはノンアシストの機械式としている。これは絶対的な前輪荷重が軽いがゆえに実現しており、無類のダイレクトな操舵フィーリングを味わうことができるはずだ。ギヤ比は16.2で極端にクイックではないが、小径ステアリングホイールとの組み合わせでコーナーでのステアリングの持ち替えを少なくしている。

なお4Cは前後荷重配分とタイヤグリップのバランスを合わせるため、前後異径サイズを採用。ホイールは17/18インチまたは18/19インチの組み合わせとなり、タイヤサイズは前205/45R17、235/40R18、または205/40R18、235/35R19となる。

アルファロメオ 4C 諸元表

アルファロメオ4C価格表

アルファロメオ・ジャパン公式サイト
フィアット・クライスラー・ジャパン公式サイト

COTY
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