ドイツ車とイタリア車の違いには、興味深いものがある。ドイツ車のインテリアカラーのベースはダークグレーであるのに対し、イタリア車はライトカラー、ドイツ車のがっちりした操舵フィーリングに対して、イタリア車のしっとりとした操舵フィーリング。ゲルマンとラテンの違いと言ってしまえばそれまでだが、イタリア車の世界観は独自のものだ。なかでもアルファロメオはまぎれもなくイタリア車を象徴するブランドである。
スポーティで官能的なドライブフィーリング、コンパクトさと質感のよさの両立などがアルファロメオブランドの持ち味で、質感のよさや、作り込みの巧みさのシンボルといったものがあり、車室内の独特の魅力的な香りもアルファロメオならではの、ドイツ車とは明らかに違うところでもある。
実は、この香りはチューニングされているということはあまり知られていない。2000年代前半までのアルファロメオの助手席のシート下には、アルファロメオが開発した香料を含浸させたフレグランスシートが標準装備されていたのだ。
↑標準装備されていたフレグランスシート
しかし、最近のモデルではこの装備はなくなってしまっていた。ところが2月28日、アルファロメオは車内で使用する純正の芳香発生器、アロマディフューザーを新発売したのだ。この芳香ディフューザーは、DC12V専用の本体とアロマエッセンシャルオイル(5mL)のセットで、シガーソケットに装着すると、車内にエッセンシャルオイルの芳香を楽しむことができる仕組みだ。
エッセンシャルオイルは、エキゾチックエレガンスと名付けられており、フローラルスパイシーと甘く熟した果実をミックスした香りで、原料はイランイラン、マンダリン、ローズウッド、シダーウッド、ジュニパーベリーなど6種類のブレンドになっている。価格は3150円。全国のアルファロメオ販売店で購入できる。
日本では、バブル期に開発された日産シーマなどが高砂香料と共同してフレグランス開発が行われ、専用フレグランスを装備していた。現在ではわずかにフーガで設定されている程度だ。
アルファロメオの一貫したフレグランスに対する取り組みは興味深く、やかり彼らは追従を許さない世界観を持っていることが分かる。