オランダ アムステルダムに本社を置くステランティスは2021年10月22日、韓国のバッテリーメーカー、サムスンSDIと、北米市場向けのバッテリーセル、バッテリーモジュールを生産する合弁会社を設立する覚書を締結した。この合弁工場は2025年の操業開始を目指し、当初は年間23GWhの生産能力を持ち、将来的には40GWhまで生産能力を増やす規模になる。
ステランティスは、2030年までにアメリカでの販売台数の40%を電動車両にすることを目指しており、電動車両用リチウムイオン バッテリーの年間生産能力の確保が大きな課題があった。今回の合弁によりステランティスのアメリカ、カナダ、メキシコにある組立工場、すなわちクライスラー、ジープ、RAMなどのPHEV、EV用のバッテリー供給を確実なものにできることになるのだ。なお、この新しい合弁工場の建設場所については現在検討中だ。
ステランティスは、2025年までに電動化とソフトウェア開発に300億ユーロ(約4兆円)以上の投資を計画しており、設備投資額と研究開発費の合計を売上高に対して30%以上確保することを目標としている。
現在、グローバル規模の自動車メーカーは、今後の急激な電動化を実現するために、量的に十分なリチウムイオン バッテリーの供給体制の確保が急務になっている。ステランティスはこの合弁事業を決定したことにより、大市場の北米における本格的な電動化の基礎を築いたということができよう。
ステランティスのカルロス・タバレスCEOは、「近々稼働予定の電池工場により、当社は北米の電気自動車市場で競争し、最終的に勝利するための有利な立場に立つことができます。認知度の高いパートナーと協業する当社の戦略は、お客様の要求にぴったり合った、安全で手頃な価格、そして持続可能な自動車を設計・製造するために必要なスピードと敏捷性を高めるものとなります」と語っている。
サムスンSDIのジュン・ヨンヒョンCEOは、「グリーンエネルギー時代に電動化戦略を加速させているステランティス社とバッテリー合弁会社を設立できることを光栄に思います。今回のバッテリー合弁会社では、サムスンSDIのバッテリー技術、高品質な製品、安全対策を活用して、北米EV市場のお客様の高い基準を満たすために最善を尽くします」と語っている。