フェラーリは2019年2月28日、第89回ジュネーブモーターショーに出展する「F8 トリブート」を発表した。フェラーリの歴史の中で2シーター・クーペの究極モデルとして開発された最新のミッドシップ・スポーツカーだ。「Tributo(賛辞、敬意を捧げるという意味)というネーミングは、ミッドシップ・レイアウトの妥協なきエンジン、とパワーをリスペクトするパッションが込められている。
排気量3902ccのV8エンジンは720psという圧倒的な最高出力と、185ps/Lという画期的なリッター当たり出力を発生するこのエンジンは、スペシャル・シリーズを除けばフェラーリ史上最もパワフルなV8エンジンとなる。このエンジンは「488GTB」用のパワーユニットより最高出力が50psアップされ、さらに軽量化も実現している。
F8トリブートに搭載された改良型エンジンは、ターボラグを全く感じさせることなく720psの出力を発揮し、同時に刺激的なエキゾースト・サウンドを奏でる。
F8トリブートは「488GTB」の後継モデルで、これまでのユニットやレイアウトを全面的に見直しを図った結果、限界域での操縦性能、快適性が向上している。エアロダイナミック効率が10%上回っている他に、最新バージョン(6.1)のサイドスリップ・アングル・コントロールシステムを搭載している。このように、F8トリブートは、現行モデルの中でもトップレベルのパフォーマンスと抜群のコントロール性能を備えている。
フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE+)を備え、サイドスリップアングルの予測値、横Gなどにより自動ブレーキ制御を行ない、ドライバーの意のままのコーナリングが可能となっている。
これにより多くのドライバーが限界域でのパフォーマンスを簡単に引き出すことができ、容易にコントロールできるようになっている。ステアリングホイールが小径化され、細かなステアリング操作に反応する車輌の挙動がより明確に体感できる。ボディ全体の軽量化に力を注いだ結果、F8トリブートの乾燥重量は488 GTBよりも40kg軽くなり、キャビンの快適性を犠牲にすることなく、応答性能とドライビングプレジャーが向上している。
ボディ・フォルムはフェラーリ・スタイリング・センターでデザインされ、優れた運動性能と卓越したエアロダイナミック効率というフェラーリならではの特徴を追求。フロントには「S-ダクト」を備えている。新たなデザインやS-ダクトにより、488GTBよりもダウンフォースは増大している。
フラットタイプの新型LEDヘッドランプの採用により、ブレーキ冷却用の新形状エアインテークをバンパー・インテークと一体化させ、これによりホイールアーチ全体の気流を改善することでブレーキの冷却を促進し、ブレーキ径のサイズ拡大を回避している。
F8トリブートはポリカーボネート製リヤウインドウを採用し、このリヤウインドウ越しにエンジンを見ることができる。これは、フェラーリの最も有名なV8モデル「F40」の特徴であったデザイン要素を現代的にアレンジして採用しているのだ。
リヤウインドウのルーバーは、リヤで発生するダウンフォースを増大させ、さらに進化したブロウン・スポイラーの効率に影響を与えることなくエンジンルーム内の熱気を排出させる効果も持つ。また、リヤスポイラーは、テールライトと一体化しており,視覚的に車輌の重心位置を下げ、リヤランプとテールパネルの構成はクラッシックな、1975年製308GTBを始めとする初期の8気筒ベルリネッタのテールデザインを現代的に再現している。
インテリアのデザインは、基本的にはフェラーリのミッドシップ・ベルリネッタ伝統であるドライバー重視のクラシックなコックピットデザインを踏襲しているが、インスツルメントパネル、ドアパネル、トランスミッション・トンネルなどはすべて新設計されている。新世代HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)に加え、円形エアベント、新型ステアリングホイール、スイッチ類、さらには新型7インチのパッセンジャー・タッチスクリーンディスプレイなど最新の装備を充実させている。