吉田由美のピンポイント&チャームポイント 番外編
「トヨタCV(コマーシャルヴィークル)」は、トヨタの商用車「働くクルマ」のこと。そこにはSUV、ミニバン、福祉車両のウェルキャブも含まれています。
トヨタは1年半ほど前からカンパニー制という制度を導入し、7つの会社組織にしてクルマ造りを行なっています。その中の一つが商用車部門の「CVカンパニー」。
CVカンパニーのモデルラインアップは「ハイラックス」をはじめ、「ランドクルーザープラド」、「エスクァイア」「ノア/ヴォクシー」があって、先日東京モーターショーで公開された「TJクルーザー」もこちらが手掛けたのかも。なるほど、今回のトヨタブースでコンセプトカーの数が多いわけがわかったような気がします。このカンパニー制のお陰で、それぞれの会社がそれぞれコンセプトカーを造ったのですね、きっと。
そんな「トヨタCVカンパニー」の試乗会が行なわれました。
中でも私が注目したのは「ハイラックス」。
1968年の発売以来、約180か国の国と地域で発売。これまでの累計世界販売台数は約1730万台という大人気車種。海外で人気のハイラックスは、耐久性が抜群と評判で、特に新興国で圧倒的な支持を受けています。今回日本でも発売された新型ハイラックスは、2015年に海外で発売された8代目。トヨタの重要な世界戦略車として、タイで生産されています。
それにしてもデカい。私が小さく見えるのは、クルマが大きいから。
でもこうやってみると基本的に「働くクルマ」なのに、モノ感があってカッコイイ。ワイルドという感じ。
実際に都会で乗るとしたら5335mmのボディサイズは巨大で、駐車場にも困りそうではありますが、この迫力で326万7000円~というプライスなことを考えると、ちょっとおもしろい選択かも。ほかの人とはめったにカブることはないでしょうし。
しかも、歩行者も認識する歩行者検知機能付き衝突支援型プリクラッシュセーフティや、車線の逸脱回避を支援するレーンデパーチャーアラートを搭載するなど、想像以上に安全装備も充実。ほかにも装備で言えば、Zグレードのみではありますが、「アクティブトラクションコントロール」と「ヒルスタートアシスト」「ダウンヒルアシストコントロール」といった悪路をワイルドに走る機能も充実してます。
2.4Lのディーゼルエンジンと6速スーパーECTの組み合わせで、外にいるとエンジン音はもちろんバッチリ聞こえますが、車内にいると案外気になりません。
むしろ気になるのは音より振動。走り出すと上下にピョコピョコした動きが気になります。
名付けて「ピコ太郎」ならぬ「ピョコ太郎」。
ハンドリングやアクセルのタッチなどには、「アソビ」が多く、おおらかな感じ。だからといって不快なわけではなく、むしろそんなところも好印象。
例えるならタイトなミニスカートではなく、足まわりがゆったりしながらも機能的でお洒落なスエットパンツ。いい意味でリラックスしつつも、豪快に走るのが気持ちいい。
ちなみに今回試乗したのは4ドアで「Z」グレードでしたが、同乗するなら助手席より後席のほうが乗り心地がよいです。
そしてピックアップトラックといえば「デッキ」部分。タイなどアジア地域などでは荷台に人がたくさん乗っているシーンをよく見かけます。日本では走行時、法的に荷台へは乗れませんが、つい荷台がどうなっているか気になって乗ってしまったシーンも。
■吉田由美ギャラリー
ちなみに「ハイラックス」の車名の由来は「high」と「Luxury」の造語。まさに乗用車の高級感を併せ持つピックアップトラックがハイラックスなのです。
この日はほかにもトヨタの安全支援技術「トヨタ・セーフティセンスP」を搭載した新型「ランドクルーザープラド」もありました。現在、中近東やロシアなどで販売され、日本を除くアジアは未発売。ただ中国だけは、中国内で生産し販売も行なっています。
また、意外なのはSUVでありながら、レクサスRC-FからデフやトルセンLSD、トルクベクタリングなどのノウハウを取り入れたとのこと。それに先代よりハンドルをひと回り小さくしたとか。
ちなみに「プラド」では悪路のコース試乗をしましたが、結構大きな角度でクルマが傾いても車内ではそこまで激しくクルマが傾いている感じがありません。むしろ外側から見たほうがクルマの傾きが大きく感じられているようです。
ほかにもダカールラリーに参戦しているレース車両での同乗走行のプログラムや、アメリカンなハンバーガーランチというアウトドアスタイルの演出で、新しい「CVカンパニー」のラインアップをアピール。お天気にも恵まれ、美しい富士山に見守られた試乗は、わくわくする試乗会でした。