クルマと過ごす日々 vol.29
こんには、編集長の高橋明です。
先日、アビームコンサルティングという会社から「勉強会」の案内が届き、出席してきました。テーマは100年に一度の変革期をチャンスと捉えるためには・・・という難しいテーマですが、非常に勉強になったので、お伝えします。
自動車メーカーには、こうした調査会社が情報を提供していて、情報をもとに企業戦略を立てています。もちろん、社内にもこうした調査部門もあるし、独自の情報収集手段は持っていますが、難しいのは他社の情報ですよね。世間の情報は、まぁ自社でも調査できるでしょうけど、ライバル会社がなにをやっているのか、どこへ進んでいるのか?はブラックボックスです。気づいたときには数年の出遅れになるわけで、危機感もあるというわけです。
このアビームコンサルティングという会社は日本発・アジア発のグローバルコンサルティングファームというのもポイントです。一般的にわれわれメディアが得られる情報は、外資系からが多く、ローランドベルガ―やデロイトトーマツ、マークラインズといったところからの情報で、日本の調査会社からというのは興味深いところでもあります。(母体が住友商事系の表記がありましたが、誤表記です。修正いたしました)
そのアナリスト、つまり自動車専門家主催の勉強会で得たことは、大きな時流の整理であり、この先、比較的近い未来はどうなるか?という予測が徐々に見えてきたということです。
早速。
まず、自動運転。これは2030年には技術的には完成するというのがTier1界での常識だそうですが、実際は法整備や国によるルールの違いなども含めると実現は部分的なエリアで可能ということらしいです。いまでも採掘現場など限定的な場所では巨大な建機がロボット運転となっているそうですが、なるほど、ですね。
そうなると、今は、「スイッチ一つで自動運転」とい魅力商品価値としてアピールするCMもありますが、近い将来、当たり前商品価値になっていくことは容易に分かります。
自動運転とEV化はセットで考えていいのですが、当たり前の装備になると、次なる魅力は何か?ということになりますよね。つまり、クルマの将来は『使用するクルマ』と『所有するクルマ』に分かれ、使用するクルマは公共性が高いことやシェアリングで賄えるようになる。
一方、所有するクルマは何か?人が欲しいと思うものは、やはりプレミアムモデルになるでしょう。量販モデルではどこにでも同じような機能を装備しているクルマがあるわけで、そこにわざわざお金を払って買うことがなくなると。お金を払っても欲しいクルマは何か。ポルシェのようなスポーツカー、フェラーリ?ベンツ?といったところが想像できます。買えないけど欲しいクルマ、それはベンツより安く、量販車よりも高級でプレミアム。という中間のモデルかもしれません。
一方で使用するクルマは、EV車でモーターは各社共通、エクステリアは個性を出すか、出さないか微妙ですが、おそらく同じエクステリアデザインになると想像します。機能は自動運転もあり、マニュアルドライブもできる。ナビは充実し、移動するための乗り捨てといったインフラが整備されれば、メインストリームになるかもしれません。
そうした中、自動車メーカーは何を作るのか。
魅力あるプレミアムなクルマなのか、当たり前品質が充実する使用するクルマを製造するのか。そして何をサービスしていくのか?というのが現状のカオスでしょうね。
CO2削減、ディーゼルゲート事件、EV化、PHEV、マイルドハイブリッドの台頭、そして自動運転という個別の課題が一本のベクトルに乗っていることが、この勉強会で見えてきたわけです。
ここまで書くと、マツダが気になりませんか?
今、マツダは「お客様との絆、お金では買えないものを『マツダ・プレミアム』」と表現しています。クルマがプレミアムだとは言っていませんが、企業はプレミアム価値を持っているということです。
一方で、トヨタ、デンソー、マツダでスタートしたEV C.A.Spiritは、コモンアーキテクチャーですから、マツダの現在の商品づくりの手法です。つまり、共用部品を多くしたEVを作る会社がスタートとしたということでしょう。もっと言えば、使用するクルマをリスク分散してカーシェアや公共交通用のEV車を作るということです。これはトヨタくらいの規模がないとできない事業で、欧州であればフォルクスワーゲンがやる事業だと想像します。
自動運転技術はデンソーが開発し、そして最近、スズキとスバルも参画しました。
だから、マツダは使用するクルマと所有するクルマの2本立て戦略だとタカハシは思うのです。マツダプレミアムも、10年かけて、周囲から、「マツダ車は高級車メーカーだよな」という声が自然と出てくるように活動していると思えてなりません。
このところのマツダ車のクオリティが高級化へシフトし、そして次期モデルが大型車でFRレイアウト、直列6気筒ディーゼル、そしてスカイアクティブ-Xも投入されて、独自の内燃機関技術を持ち、世界でも価値あるエンジンを持っている。環境問題もクリアしている。そしてクルマのできばえ、乗り心地、操安性、安全性が整えば、プレミアムモデルではない理由がなくなります。かならず、欲しいクルマのリストにあがるようになります。
いまは、各社、環境技術を中心に規制対応することに必死ですが、どこがマツダだけは、別なベクトルで進んでいるようにしか感じられません。
これも今回のアビームコンサルティングの勉強会で学んだことによる、紐づけ、タカハシの脳内ニューラルネットワークとディープラーニングによるイメージですけど、みなさん、そう思えませんか?
いま、マツダが凄いわけ、でした。あ、言うまでもありませんが、タイアップではありません。