【ここだけの話】VOL30 言い訳のような、そうでないような・・・スタッフブログ

ホンダ・フィットが3万6000台を超えるリコールを出した。対象はハイブリッドモデルで起こる不具合で、エンストしてしまう現象などを含んだもので、ホンダのホームページ、国土交通省のホームページなどでも、その詳細や対象となるモデルは確認できる。

主に制御ソフトの不具合によるリコールと思われるが、我々業界でも「プロトタイプの試乗の時からおかしいと思ってたんだよ」というジャーナリストが出てきている。

プロトタイプはモータージャーナリストや編集記者などが、ホンダの持つ北海道旭川のテストコースで2013年7月上旬に試乗会が開かれている。

フィットHVシステム
フィットHVシステムi-DCD

その段階では次期フィットがどのようなモデルなのか詳細を知っている者は少なく、試乗会当日に商品説明が行なわれた。エンジンラインアップが説明され、ハイブリッドがIMAから進化した新規のシステムであることの説明もあった。

「みなさんに試乗していただき、忌憚のないご意見を賜りたい」という低姿勢な態度で接してくる。もちろん、エンジニアからは自信あり、という説明を受け「是非堪能して欲しい」というパルスを感じる。当然受信側のわれわれも楽しみであり、どんな感じなのか早く乗りたいという衝動が沸き起こっているのだ。

HVのシステムはi-DCDと名付けられ、ダブルクラッチを用いたハイブリッドだった。この時点でDCT=スポーツというイメージが定着しているジャーナリストには、「HVだけどスポーティな走り」をするんだろうなぁという印象が芽生えている。しかも試乗はテストコース。ニュルブルクリンクを模したと言われるテストコースだけに、気分も高揚している。

さてさて、試乗を終えエンジニアたちとの懇談となるが、そこでさらに取材をするタイプと自分の意見を述べるタイプに大別される。取材するタイプは事前の説明どおりに感じたか、感じなかったか、あるいは、乗ってみて新たな疑問が出てきたので確認。説明がなかったけど、これはどうなっているのか?といった類の取材である。

後者は乗ってみての印象を話す。エンジニアもレーシングドライバー並みのスキルを持つ彼らの評価は気になる。もちろん、そこでは感想のほかに質問も出てくるが大抵は「もっとこうしたほうがいい」という意見を言っているケースが多い。

そこでタカハシが耳にした多くの評価は「HVのDCTがスポーティで気持ちいい」という評価と「1.5LのCVTのデキが素晴らしい」「RSが軽快」などといったものだった。だが、HVの評価では多くの取材陣の中で、その仕組みまで理解していた人がどれ程いたのか不明である。

と言うのは、このプロトタイプの試乗会後、テクニカルな説明記事が少なく、あっても誤記(後々情報が明かされたため)を多く見かけた。このプロトタイプ試乗会では詳細な技術説明の材料がなく、話だけ聞くというレベルの取材で紙の資料、データ資料は全くなく、写真もNGという取材であったため、エンジニアから話を聞くだけなので誤記が多かったと思われる。

そのため先入観に犯されている我々は、スポーティな走りのHVである、なんていう記事が溢れたわけだ。さらに、そのフィールの素晴らしさまでレポートしている記事も見かけた。が、ここにきてこのリコール問題が起き、半年前の自分の原稿などすっかり忘れたかのように「あの時、おかしいと思ったんだよ」という声が聞こえてくる。

現場で、なんかおかしくないか?という疑問を現場で聞いたのはほんの一部だけった。タカハシもブレーキはおかしくないですか?という質問をした記憶がある。このとき感じたものが今回のリコールとは直接繋がらないのだが、あれだけ絶賛しておきながら、手のひらをかえしたようなことを言うジャーナリストが多いという【ここだけの話】

自動運転イメージ
自動運転イメージ

他にも、自動運転に関する誤解。自動車メーカーが目指すものとグーグルが造っているもの、軍事産業が開発しているものなど、自動運転にはさまざまな種類があり、自動車ジャーナリストはやはり、自動車メーカーが目指している高度運転技術支援という完全自動化技術を支援していきたい。

一般紙や経済紙、雑誌などはオーバーオールな話が必要なので、さまざまな自動運転を取り上げている。そして自動車メーカーが目指しているものと軍事産業が開発しているものとがごちゃ混ぜで示され、電車やバス、タクシーとおなじように、ドライバーはただ座っているだけという自動運転を言っているケースが多い。

その違いの詳細はAPの記事を読んでいただければ明解。

そして「ぶつからないクルマ」の誤解。これもすべての障害物に対して緊急停止するわけではない。ということをハッキリ言っている媒体、ジャーナリストが少ない。特に人間が難しく、人を認識していてもクルマを緊急停止させる必要があるのかないのか、その認識した人は飛び出すのか、それともただ歩いているだけなのか?その動きの予測も踏まえたアルゴリズムが強烈に難しいらしい。

したがって、今の技術で人ごみの中をクルマで走らせたら、クルマは動けなくなるのだ。ところが、日産が人を認識するというTVコマーシャルを始めた。詳細は分からないが、おそらく限定的には可能であるという現状と何ら変わらないと思われる。

今、人を認識し、そのアルゴリズムが最も進んでいるのはボルボ、メルセデス・ベンツSクラス、スバル、レクサスLSあたりで、コンチネンタル、ボッシュ、日立といったサプライヤーとの共同開発によるものだ。つまりカメラがマストアイテムで開発されているものが最先端であり、日産がどのようなシステムを搭載してきたのか?不明だ。しかも各車高級車に限定されるほど高価なシステムであるが、日産はノートに搭載している。

人にも完全停止できるのであれば、それは素晴らしい。技術であるから、いづれ可能な世界だろうが、それを世界に先駆け日産は開発したということなのだろうか。

ロータリーエンジンを使ったマツダのレンジエクステンダー心臓部
ロータリーエンジンを使ったマツダのレンジエクステンダー心臓部

マツダが開発したレンジエクステンダーのロータリーエンジン。まだまだ市販予定はない。おそらくCO2の問題があり、CNGや水素の線をさがしているように感じた。だが、すでに市販化が目前的な記事も目にする。

結局なにを言いたいのかというと、錯綜する情報社会に流されないためには、APを読んでね(^-^)という程度の話なのだ。ははは。

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