【ここだけの話】VOL16 気筒休止で燃費がいい本当の技術解説

最近の自動車専門雑誌記事に対して、ある指摘を聞いた。それはアウディの気筒休止に関する記事だ。もちろんAutoProveでも技術ハイライトとしてニュース内に記事掲載をしているのだが、その指摘は「気筒休止することによって燃費が良くなっている。つまり、8気筒のところを4気筒で走行するため、燃料の消費が削減できる」という記事が多いという指摘だ。


一見すると、正しい情報に感じるが、その指摘によると8気筒が4気筒になって燃料の消費を抑えているから燃費がいいということではなく、ポンピングロスを減らせたから燃費につながっているということが正しく伝えていないというものだ。

つまり、理論は8気筒が4気筒になったときに、同じ走行状態を保つためには4気筒で8気筒分の出力を持たなければ、失速してしまう。4気筒になっても走り続けるには、8気筒走行と同じ出力を4気筒でカバーすることになり、気筒あたりの出力は逆に増加していることが分かる。では、なぜ、燃費が良くなっているのか?

気筒休止し燃料が噴射されないからというある一面だけではなく、ポンプロスが減るから燃費が良くなっているというのが正解だ。ポンプロスとはエンジンが燃焼する際には、吸気を行うがそのためのエネルギーはエンジンの出力を用いて吸気する。つまり、そこにはエネルギー損失があり、そのために利用される燃料も存在している。

気筒休止することによって、その分吸気抵抗がなくなり、また、そのために利用されていたエンジン出力も失わなくて済む。さらに、吸気のためのエンジン動力を不要とするため燃料を必要としないというわけだ。

このようなことから、気筒休止によって燃料消費量が減るのは、気筒休止だからということではなく、ポンプロスが減るから燃料を消費しないというのがわかる。

自動車専門サイトも多いが、専門的なことが全く書かれていないと、清水和夫氏は嘆く。弊社運営のサイトには、ポンプロスが大幅に低減できていることが省燃費につながる記述があるため、敢えて苦言を呈したということだった。

ありがたい話でした。

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