【ここだけの話】VOL11 トヨタ86試乗会後記  スタッフブログ

「編集長!トヨタ86の一般公道試乗会行って来ました。試乗できたグレードは3種類で、もっとも豪華装備のリミテッド、それと販売割合が多いGT、あとエントリーモデルのGグレードで、それぞれ1時間ずつ箱根の山を走ってきました」

「おう、それでどうだったんだ?」

「それがですよ、BRZとはやはり、違いますね」

「何がぁ?サスペンションの味付けの部分では、多少違うというのはトヨタもスバルも言っているけど、インサイドストリーで書いたように、スプリングレートの2車の違いは0.2kgmmの違いでBRZが3.0kgmm、86が2.8kgmm。その違いを感じられるか?普通?1kgmmの違いだって簡単にはわからないぞ?ダンパーの減衰も10%以内の差というし」

「はい。そのサスペンションの違いは、編集長の言うとおりで違いは良く分からないです。そのバネレートの違いよりもタイヤのサイズ違いのほうが大きくて、16インチと17インチは違う。それは乗り心地もハンドリングもですけど。でもタカハシが違うと感じたのは、その違いのことじゃないんです」

走り

トヨタ86リヤ

「タイヤサイズが違えばフィーリングが違うのは当たり前だ。それで、え?他にも違いがあるとでも?部品は共通だし他の部分でもパーツの違いはないわけだろう。デザインの違いが細部ではあるけど。じゃあ、どこに違いを感じたんだ?」

「はい。ハンドルフィールとシフトフィールです。そのハンドルフィールというのは、以前、BRZをもてぎのサーキットで乗せてもらったときは、質感がなんとも安っぽくて、質感の高い乗り味と合ってないイメージでした。それはシフトフィールもそうで、シャカシャカした感じとでも言うんですかね」

「おう。それはオレも乗ったけど、同じ印象だったよ」

「ところが、今回のトヨタ86はハンドルもシフトフィールもそんな安っぽさがないんですよ。ハンドルは、去年の11月に富士スピードウエイのショートコースで試乗させてもらったとき、BRZと同じように、操舵感も軽く、セルフアライニングトルクも感じないフィールで、高級感は感じなかったんですけど、今回のハチロクはちゃんとステアリングを切っても戻ってくるんですね。操舵フィールも重いというほどではないけど、しっかりした印象で、おもちゃ的なことはまったくなかったですね。それに、シフトフィールもタッチが良かったです」

「BRZのときは、シフトのフィールが硬くて質感が悪かったと言っていたよな」

「はい。でも今回のハチロクのミッションは、バリが取れて滑らかになった感じとでも言うんですかね、フィーリングが良いんですよ。さすがに、少しの力で吸い込まれるようにシフトするというとこまでではないんですけど、それでも滑らかには感じますね」

インテリアFシート

「どういうことだよ。BRZとは同じミッションだし、トヨタとスバルで造り分けるなんてことはしないだろう。それに工場はスバルの群馬工場で同じラインだろ?」

「そうですよね。ひょっとするとBRZは量産試作車だったんですかね?時期的にはまだ通常の量産ラインで製造はされてないタイミングでしたし。でも今回のハチロクは通常の量産ラインから出荷されたものでしょうから、BRZの試乗からまた少し手直しされたんでしょうか?」

「それは十分ありえるな。特にステアリングは制御ソフトの修正をすれば、手ごたえの変更やセルフアライニングトルクだって作り出せるからな。ただミッションはわかんないなぁ。そこまでフィールが違うというのは、組み立て精度を変えるとか、ミッション内部のホントにバリを丁寧に取るといった作業すれば可能だろうけど、量産ラインでは不可能。制御といってもなぁ・・・分からないな」

「これは同じテストステージを用意して乗り比べないと、本当のところは分からないですね?」

「そう。雑誌でもWebでも挙動が違うという記事が出ているけど、そこまで乗り味を変えているハードな部分の違いもなければ、制御違いもない。だから、常識的には乗り味の違いレベルで挙動まで違うとは思えないな。だから、もう少し様子をじっくりみたいな」

「それと、トヨタのエンジニアで斉藤さんという方から面白い話が聞けました」

トヨタ斉藤氏エアロパーツ

「何を担当している方なんだ?」

「空力だそうです」

「モータースポーツの世界では、空力はもう一つのパワーソースとして考えるのが常識化しているから、とても重要な世界だよ」

「はい。斉藤さんもおっしゃっていて、テールランプのサイドについている小さい凸が重要らしいです。というのは、このパーツで整流効果が高いらしく、反面、一体成形なので、コストはかかっていないというチョー優れものという話でした」

「整流効果は燃費の点でも、車両の走行安定性でも重要だからな」

「そうなんです。斉藤さんによれば、これと同じような大きさのパーツをサイドミラー付近やCピラー付近にも取り付けたかったと。そうすると、コーナリング時のヨーモーメントを安定的に支えることに効果があるそうです」

AピラーCピラー

「つまり、横からの力が加わって、コーナリングしやすく、そして安定するというわけだ」

「そうなんです。空力っていうと、抵抗ばかりに目がいっちゃって、燃費とか高速安定性、直進性しか考えないですけど、専門家はいろいろな効果をねらっているんですね。しかも量産モデルで実現しているというから凄いですよね」

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