【ここだけの話】VOL7東モ コンセプトカーなど力作揃いの東京モーターショーだったが……by 松本晴比古 スタッフブログ

東京モーターショー会場の画像
↑ショーは12月11日に閉幕。期間中の入場者数は84万人余りだった

第42回東京モーターショーは、東京・お台場で開催された。前回の東京モーターショーは世界を直撃したリーマン・ショックの影響で縮小傾向が強く、輸入車も参加せず、自動車業界の先行きへの不安を感じさせた。2011年に開催された今回のショーは、東日本大震災、異常な円高の為替相場、さらに自動車部品の分野で南アジアの生産拠点となっているタイの大洪水などに襲われ、自動車メーカーは大幅な減産を余儀なくされるなど厳しい環境が続いているものの、それに耐えて今後の行く末を探る姿を見せたと言える。

各社の出展車を見ると、フランクフルトショーと同様に電気化への流れが加速していることが改めて実感される。それも単に電気自動車という形だけではなく、東京モーターショーではシティコミューター、電動バイク、シニアカーなど多様な形で展開されているのが印象的だ。そして、EVのより発展的な形としては、プラグインハイブリッド車への流れも感じられた。プラグインハイブリッド車はいずれも量産化、市販直前という状況だが、その裏には大容量のリチウムイオン電池の量産化ができるようになったという背景があることも忘れてはいけない。

2015年に本格始動する燃料電池車時代に向けては、トヨタ/ホンダ/メルセデス・ベンツ/ダイハツなどが燃料電池車を出展したのみで、この分野はやはり自動車メーカーにとってハードルが高いことを示している。日産は独自の燃料電池車を開発しているが、今後はメルセデス・ベンツとコラボレーションすることを発表している。

ホンダのプレス・カンファレンスの画像
↑ホンダのプレス・カンファレンスで「EV-STER」をお披露目する伊東社長

その一方で、ガソリンエンジンのダウンサイジング・コンセプトはヨーロッパのメーカーではもはや決定的な潮流になっているが、日本のメーカーでは決断し遅れている感じは否めない。その中で、マツダはすでにSKYACTIVで独自技術を打ち立てているが、東京モーターショーでは、スバルが1.6Lターボエンジンを、ダイハツが次世代軽自動車用の2気筒ターボ、ホンダが主要エンジンやトランスミッションを全面改良する「アースドリーム・テクノロジー」を打ち出したことは大いに注目したい。

なお、クルマ好きの入場者にとっては、コンセプトカーよりも事前に話題を独占した感のあるトヨタ86、スバルBRZが注目の的だったはずだが、その展示方法などは平凡に過ぎた。

トヨタのプレス・カンファレンスの画像
↑トヨタのプレス・カンファレンスは大盛況だったが…
トヨタのプレス・カンファレンスの画像
↑「Re BORN」と「ドラえもん」が目立っていた

各社のプレス・カンファレンスでは、日本勢はいつも通り控えめな印象だが、やはり日産のゴーン社長は明快で、EVのリーダーとして進んでいることと、掲げた目標に向かって着実に進んでいることを宣言した。ホンダは伊東社長が「尖った商品作り」を宣言し、今後の期待を高めている。異色だったのはトヨタで、会場にはドラえもんやノビタ君、どこでもドアが並び、その一方で「Re BORN」と「FUN TO DRIVE? AGAIN」というふたつのスローガンが。豊田社長は、現在の生産体制を守ることを強調し、「ネバー・ギブ・アップ」という言葉で締めくくり、ちょっと悲壮感が感じられた。

 

圧巻だったのはVWグループで、フランクフルトショーと同等に、本社、グループ会社の社長や首脳部が全員顔を揃え、カンファレンスの演出・構成もフランクフルトショーとまったく同じ質の高さを見せつけた。演出を支えるスタッフもすべて本国のメンバーと徹底していた。もっとも、今回ずらりと揃ったVWグループの首脳陣は、翌日には全員が中国に向かって出発した。実態は、中国に勢ぞろいするついでに東京に立ち寄ったといえるのかもしれない。

VWのプレス・カンファレンスの画像
↑VWグループはウインターコーン会長も来日
VWのプレス・カンファレンスの画像
↑左からハッケンベルク氏、ビショフ氏、VWジャパンのドリザス社長

VWのウインターコーン会長は、半分は外交辞令だが日本の市場を重視していることを強調し、同時にVWは2018年を目標に世界No.1メーカーになることを宣言。さらにワールドプレミアでは開発担当取締役のハッケンベルク氏がVWのブランドデザイナーのビショフ氏とともにプレゼンするなど、その迫力は日本メーカーを凌ぐパワーを感じさせた。ハッケンベルク氏が自らコンセプトカーのステアリングを握って舞台に登場する演出はいつものことながら、その走行スピードが日本の常識と違って妙に速いのもドイツや他の海外のショーと同様で、笑わずにいられなかった。

さらにVWグループでは、アウディのシュタットラー会長が「2020年までにアウディは日本のプレミアム市場でトップに立つ」と言い切ったのも印象的だった。アウディはサッカー日本代表のザッケローニ監督や、なでしこジャパンの岩清水、阪口の両選手をゲストに呼ぶなどの演出もユニークだった。

 

全体としてみると、日本の自動車メーカーもそれぞれの立ち位置から近未来の姿を発信しようと、コンセプトカーも思った以上に力作が揃った感じがする。が、その一方でプレゼンテーションの方法などは凡庸で、それぞれの企業としてのメッセージ性がいまひとつ弱い気がしたのは、ちょっと残念だった。

 

文:編集部 松本晴比古

 

東京モーターショー公式サイト

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