トミカといえば、子供たちが最初に触れるミニカーとして、日本で知らない人はまずいないでしょう。1970年に誕生したトミカは、今から3年後の2020年には50周年を迎える歴史のあるミニカーブランド。ラインアップは毎月入れ替わり、常に新陳代謝を繰り返しています。ロングセラーブランドでありながら常に活気があり、幅広い年齢層から受け入れられています。<レポート:北沢剛司/Koji Kitazawa>
そんなトミカには、その名も『トミカ博』というイベントがあります。トミカ発売30周年記念事業として2000年に開催されたこのイベントは、その後全国規模で毎年開催。当時トミカで遊んでいた子供たちは今や成人しているほどで、こちらも長い歴史を持つ一大イベントとなっています。
『トミカ博』のメインターゲットは、もちろん小さな子供たちです。しかし、わが子の誕生を機にトミカ熱が再燃してしまったパパ世代、そして幸か不幸かトミカを卒業できなかったトミカコレクター、さらにレア物トミカを狙う転売ヤーもイベントを訪れるため、会場内は熱気で溢れかえっています。
▪️子育てと物欲のあいだ
幼い頃からトミカを集めてきた筆者は、オトナになっても毎月トミカを買い続けるコレクターへと正しく成長しました。当然、『トミカ博』は毎年欠かせないイベントとして初回から参加しています。そのため、結婚して息子が生まれてからは、まさに大手を振って参加できるイベントとなりました。毎回息子と2人で出かけることで、妻には自由な時間をプレゼント。その一方で自分の趣味もしっかり満喫するという、エセ・イクメンとして活動しています。
■なかにはオトナ狙いの車種も
『トミカ博』には有料入場者に配られる入場記念トミカがあり、2017年8月に開催された『トミカ博 in Yokohama』では「TDM(トミカドリームモータース)ツナグーン」という架空デザインのトミカが告知されていました。しかし、オトナのクルマ好きにとっては、架空の車両よりも実車を製品化したトミカが欲しいもの。そこで数年前から、入場記念トミカが2種類選べるようになっています。
「TDM」ではないほうの入場記念トミカは、特に告知がないためサプライズ感があり、数年前はマツダ・コスモスポーツの消防指揮車が配布されました。そんなオトナ目線の車種選択を見ても、『トミカ博』が単に子供たちだけを狙ったイベントでないことが分かります。
そんなオトナたちのお目当ては、アトラクションゾーンとショッピングゾーン。まずアトラクションゾーンでは、さまざまなゲームに挑戦することで、このイベントでしか手に入らない非売品トミカをゲットすることができます。見事当たればクリア賞の金メッキバージョン、ハズレでも参加賞のトミカがもらえるため、どちらに転んでも非売品トミカが手に入ります。
モノによっては参加賞のトミカのほうが魅力的な場合もあるため、あえてハズレを狙うような大人げないプレイをすることもしばしば。とはいえゲームの当たりハズレはすべて偶発的に決まるため、コツをつかむことは不可能。すべては運次第です。大人の叡智がまったく通用しない公平さにやるせなさを感じる反面、当たったときの喜びは格別です。今回のゲームでは思わず「よっしゃ!」とガッツポーズを決めてしまったため、周りの子連れのママさんたちは引いていたことでしょう。アトラクションゾーンのゲームには、誰もが童心に戻ってしまう不思議なマジックがあるのです。
■これだけは買っておきたい必須アイテム
アトラクションゾーンでオススメのアイテムは「トミカ組み立て工場」です。これは3色ずつ選べるボディと内装パーツとを自由に組み合わせ、最後にボディと裏板を固定して完成させるもの。いわばトミカのイージーオーダーです。『トミカ博 in Yokohama』では、三菱 ランサーエボリューションⅣ、メルセデス・ベンツ SLS AMG、ダイハツ ウェイクの3種類が用意されました。注意点は、車種の人気度合いにより待ち時間に大きな差があり、場合によっては待ち時間が2時間を超えることさえあること。あまりにも混雑がひどい場合には、一度会場を出て食事を済ませてから再入場するなどの工夫が必要です。
親子の来場者に一番オススメしたいのは「トミカミニミニドライバー工房」です。これは実車の運転席/助手席シートに座った写真をスタッフが撮影し、プリクラのようなシールに出力。そのシールを内装パーツに貼付し、ボディと裏板を固定して完成させるもの。親子でトミカをドライブしているような、世界にひとつのトミカをつくることができます。オススメの理由は、これを毎年つくることで、子供の成長記録にもなること。わが家は今年で4回目。息子は今回もなんとか一緒に来てくれたけど、来年は一緒に行ってくれるかなぁ。
■ショッピングゾーンでは親子の駆け引きが展開
今回は息子がアトラクションで2種類の金メッキトミカを獲得。幸か不幸か息子は最近トミカよりもゲームに夢中なため、お宝トミカの所有権は筆者に無事移管されました。その後のショッピングゾーンでは、イベント記念商品のトミカイベントモデルが販売されているため、彼がゲームをしている隙に私自身の買い物をどんどん溜め込んでいきました。
そんな折、「パパこれ買って!」と息子が抱えてきたのが「2WAY ベーシックどうろセット」という3500円の走行系セット商品。最後に大きな遊具をねだるのは例年通りなので、「後でネットで安く買うから」と毎年恒例のセリフを言い、それ以降忘れたことにしてしまういつもの作戦を取ろうとしました。しかし、そのパッケージには「トミカ1台付き ホンダ S660」と書かれており、このセットにしか付属しない専用カラーのホンダ S660の写真が掲載されているではありませんか!
普通ならこの手のセット商品はパスするのですが、今回は息子が多数の戦利品を引き当てたこともあり、ご褒美としてはじめて買ってあげました。もちろん息子が箱を開ける前に、真の狙いであるホンダ S660 トミカだけを取り出し、ひっそり保管したのはいうまでもありません。ある意味、親子でwin-winな買い物といえるでしょう。
■実車イベントで販売されるトミカイベントモデル
トミカイベントモデルの販売は『トミカ博』だけではありません。さまざまな実車イベントに合わせたオリジナルトミカが数多く製作されているため、コレクターはそのたびに右往左往しています。『東京オートサロン』のようなビッグイベントで販売されるトミカは比較的入手しやすいのですが、オーナーイベントで販売されたオリジナル商品、さらに自動車ディーラーのオープン記念として配布された特注トミカまで含めると、すべてをコレクションするのは不可能に近い状況です。イベントなどで何気なく貰ったトミカが実はお宝品ということも少なくないので、まったく侮れない存在なのです。
■東京モーターショーで販売されるトミカとは?
トミカイベントモデルが発売される次なるビッグイベントは、2017年10月27日(金)に開催される『第45回東京モーターショー 2017』。東京モーターショーでは2001年の第35回ショーから毎回トミカコーナーが設けられ、東京モーターショー開催記念トミカを購入する人たちで連日大きな賑わいを見せています。今回も開催記念トミカなどが販売されるため、トミカコーナーで時間を費やしてしまい肝心のクルマたちがあまり観られないという、本末転倒な状況が発生するかもしれません。
このように、子供からオトナまで熱く楽しめるトミカイベントモデル。来たる東京モーターショーではどのような光景が繰り広げられるのでしょうか。