本気すぎるメンバーが勢揃い!
そして迎えたレース本番。会場となった横浜のマツダR&Dセンターを訪れると、施設内に筑波サーキットを再現した特設RCサーキットが出現。操縦台はバックストレッチ側に設けられ、ドライバーおよびバッテリー交換用のピットはダンロップコーナーと第2ヘアピンの外側に配置するというコースレイアウトになっていました。<レポート:北沢剛司/Koji Kitazawa>
受付後、各チームの車両は車検にまわされ、競技用のセッティング変更が施されます。今回は室内カーペットコースのため、その環境に適したタイヤとピニオンギアに変更。さらにタイム計測用のトランスポンダーも装着されます。この作業はRCカー好きのマツダの有志が行ないましたが、その手早さはまるでRCカーの世界選手権に出場しているタミヤ・ファクトリーチームのよう。運営スタッフもプロの職人技を見せるエキスパート揃いです。
今回は1時間の耐久レースのため、約20分走行可能な3本のバッテリーと予備の1本を使って行ないます。そのため、会場の隅にはバッテリー充電スペースが設けられていました。当日はコースサイズの都合上、第1部から第3部まで3回に分けてレースを開催したこともあり、実に数十本のバッテリーが用意されていました。こんなシーンはなかなか見られません。
今回のドライバーは、エースドライバーの桂伸一さんと、ラジコン飛行機のキャリアが長いBMWチューナーの鳥羽昇一さん、そして津々見友彦さんの代役として恐れ多くも大役を任されることになった筆者・北澤の3名。各ドライバーは最低10分の走行が義務づけられているので、スタートとゴールの各20分を桂さんが走行し、中間の20分間を私と鳥羽さんが半分ずつ受け持つという作戦。バッテリー交換の時間も勝負に影響するため、チームの総合力が問われます。
コースを下見しているときにイベントに協力しているタミヤの広報・山本さんにお会いしたので、コース攻略のポイントを尋ねました。すると、基本はクラッシュせずにコンスタントに走行すること。そしてコーナー内側のオレンジ色のコーンに乗り上げると横転しやすいので、あまりインを攻めすぎないこと。また上手い人はコース後半を直線的に走行しているとアドバイスされました。
とはいえ、練習走行で実際にコースを走行してみると、コースアウトしないよう走るのが精一杯で、なかなか思うようにいきません。そんな状況をあらかじめ察したのか、気がつけば本番用とは別のTカー用ボディが装着されていました。きっと決勝前にボディが悲惨な状況になるのを防ぐための配慮だったのでしょう。桂さんのリスクヘッジ能力の高さに脱帽です。
「ザ・モーターウィークリー」チームのピットには、桂さん自前のRC専用工具セットが持ち込まれ、他のチームに強烈なプレッシャーを与えていました。しかし、「カーグラフィック」チームには加藤哲也代表の姿が。加藤代表も知る人ぞ知るRCカーマニアで、桂さんとの激しいバトルが予想されます。
注目のレース結果は?
それぞれがひそかな闘志を燃やすなか、いよいよレーススタート。序盤は予想通りCG加藤さんと桂伸一さんとのバトルに。両者はラインをクロスさせながら丁々発止のバトルを繰り広げます。途中両者が絡む場面もあり、最初からガチレースの様相を呈してきました。そんな両者をすり抜けるようにしてトップに立ったのが、第3のプロ集団といわれた「ル・ボラン」チーム。この第2部のメンバーはRC経験者揃いで、まさに「死の第2部」と呼ぶにふさわしい熾烈なレースが展開されました。
そしてスタートドライバーの桂さんからプロポを手渡され、いよいよ私のスティント開始です。操縦にはだいぶ慣れましたが、普通に走行していても他車のクラッシュに巻き込まれることが少なくないので、スムーズに走行させることはかなりハードルが高いことに気付きました。他車と接触しないように走るには、視界を広く取り、全体の流れの中で自車を走らせるようなテクニックが必要になります。そんなトライ・アンド・エラーを繰り返しているうちに私のスティントはあっという間に終了。サードドライバーの鳥羽さんにバトンタッチしました。レース後半になるとタイヤに熱が入り、グリップが上がりすぎてマシンがハイサイドするシーンも見られました。RCカーは実車では考えられないほどのグリップと横Gで走行していることが分かります。
こうして1時間の耐久レースが終了し、結果は「ル・ボラン」、「カーグラフィック」に続く第3位!第2組のレースで見事表彰台に上がることができました。総合順位では第4位となり、メディア4耐の予選では4番目にコースインすることができます。
今回のレースで分かったことは、実車の運転が上手い人はRCカーの操縦も上手いこと。そしてレースを本気で勝ちに行く体制で臨むチームが多かったことです。私自身RCカーレースへの参加は久しぶりでしたが、ここまで本気でレースをしたのは初めてなのでとても刺激を受けました。いい歳をした大人が真剣に遊びに取り組むと、とてつもなくエクストリームなイベントになるという実例を見た気がします。運営スタッフも参加したチームも、みんなが本気で取り組む姿勢がとても印象的でした。
そんな容赦のない勝負師たちが今度は実車のマツダ・ロードスターで筑波サーキットを駆け巡ります。予選コースインの順番をかけたRCカーレースでここまで真剣になるのだから、本番のレースではどんな熱戦が繰り広げられるのでしょうか。9月3日に開催されるメディア4耐が今から楽しみですね!