DSM 軽量化の鍵 耐熱性の高い自動車向けの高機能樹脂「ForTii Ace MX」を新発売

2017年8月3日、オランダのDSM社は自動車業界に向けて世界初の金属代替を可能にする新製品「フォーティー エース MX」の販売を開始した。

DSM社はオランダの本拠を置く元国営企業で、現在はグローバル規模の総合化学メーカーに成長し、エンジニアリング・プラスチック部門は自動車業界で、エンジンルーム内の部品の樹脂化を促進してきた。

DSMジャパン 永田裕介自動車統括部長 フォーティーエースMXプレゼン風景
フォーティー エース MXのプレゼンテーションを行なうDSMジャパン・エンジニアリングプラスチック・営業マーケティングの永田裕介自動車統括部長
DSMの自動車向け製品概要
DSMの自動車産業向け製品群

同社のオリジナル技術を駆使し、次世代の高機能樹脂「フォーティー エースシリーズ」が開発され、その中でも自動車向けとして世界初の金属代替を可能にする新製品「フォーティー エース MX」が発売された。エンジンルーム内の部品をさらに樹脂化できることは、当然ながらクルマの軽量化に直結する。

自動車に使われる金属や樹脂の割合グラフ 将来予想
自動車での部品樹脂化による軽量化の効果
DSMエンジニアリングプラスチック・ヨーロッパ グローバル・マーケティング ラルフ・ポニッキ部長
欧州車の樹脂採用のトレンドを語るDSMエンジニアリングプラスチック・ヨーロッパのグローバル・マーケティングを担当するラルフ・ポニッキ部長

フォーティー エースMXは、ポリアミド・4T樹脂をベースにした芳香族系のPPA(ポリフタルアミド)で、優れた機械的特性と耐熱性、耐薬品性を備え、さらに従来のポリアミドやPPAでは実現できなかった耐高温特性を持っている。

高温環境下でも物性を維持できるので、パワートレーンやトランスミッション、電気駆動システム、熱管理システムなど、これまで金属代替が難しかったエンジンルーム内の部品の多くが、金属代替可能となるのだ。

具体的には、150℃の環境下で弾性率が1万MPa、剛性は1万MPa以上あり、引っ張り強度は150MPaを維持し、従来の樹脂を遥かに上回る物性を備えている。

またフォーティー エースMXは高強度、高剛性で、高い弾性を備えているため、NVHを低減することもできる。

フォーティー エースMXは、ガラス繊維や炭素繊維といった充填材、補強材を50%まで添加可能な唯一のPPAのため、さまざまな種類のグレードが開発可能で、現時点では、フォーティー エースMX51(ガラス繊維30%添加)、フォーティー エースMX52(ガラス繊維40%添加)、フォーティー エースMX53(ガラス繊維50%添加)の3種類をラインアップしている。

フォーティーエースMXにガラス繊維を加えた製品シリーズ概要

もう一つの大きな特長として、フォーティー エースMXは射出成型が可能で、吸水性が低いことから寸法安定性も高く、安定した大量生産と製造コストの抑制ができる。つまり高性能で、高価なスーパーエンジニアリング樹脂よりはるかに低価格なのだ。

用途としては、アルミ鋳造部品や鉄製品の代替としてパワートレーンのケース、トランスミッション・ケース、電気駆動システム、配電システム、熱管理システムからサブフレームやサポートフレーム、エンジンマウント、ボディコンポジットなどが想定されている。

現在はすでにヨーロッパのサプライヤーや自動車メーカーに採用されつつあり、日本では構造材用のプロジェクト、ハイブリッド/電気自動車用の部品プロジェクトが進行中だ。

DSMジャパン 公式サイト

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