【アウディ】A1試乗記 5ドアデビュー前に改めてスポーツバックを再確認

マニアック評価vol83
ちょうど約1年前の2011年1月から国内販売が開始されたアウディA1。改めて試乗してみた。アウディジャパンは2011年8月に上半期の販売状況を発表し、前年同月比+29%という伸びを示し、そのけん引役となったのが1月に投入したA1があり、好調な販売の要因として挙げていた。もちろん、アウディAG自体も好調で、A1の好調を理由のひとつに挙げグローバルに売れたと説明している。

アウディA1は、BMW MINIの独占的とも言えるプレミアム・コンパクトの市場に一石を投じたのは確かだ。がしかし、MINIの壁がまだまだ高いのも事実である。2011年末に行われた東京モーターショーではA1の5ドアもワールドプレミアされ、今後A1の販売の後押しとなることは間違いない。

さて、改めてA1に試乗してみると、ファッションやライフスタイルを重視するプレミアム・サブコンパクトのセグメントにおいて、若い世代で都市部に住むライフスタイル優先型富裕層やセカンドカー需要のユーザー層をターゲットにしているクルマであることが確認できる。

A1
アウディA1 アウディの好調な販売をけん引しているモデルの一台

インテリアではクラスを超えたプレミアム・コンパクトに相応しい質感を持ったインテリアで、さすがアウディとうなってしまう。ダッシュボードの手触りや見た目の高級感ある処理やドア内張りの質感も高い。そしてなんと言っても、ドア閉めのときの音が低音でドスンと閉まる、高級車のそれだ。ボディの剛性感を感じ、カタマリの中に座り保護されていると感じる瞬間でもある。

ステアリングは、アダプティブコントロールとオーディオ・ナビのコントロールの操作が手を離さず行え、上級車と同等のプレミアム感が得られる。もっとも、設計の思想から、オーディオ系と繰安に関わるものを別系統の操作エリアとする考えもあるため、単純にすばらしいとも言えないのだが。

インテリアメーター

↑100km/hで2000rpm付近の回転を示す

シートはそれほどホールド性を考慮したタイプではない。しかし、ポジションはテレスコピック&チルトも装備されフィットできる。着座位置はやや高く感じるが、セグメント的には妥当か。インパネまわりは視認性が高く男性的な力強い印象のデザインでまとめられている。いわゆるスポーツライクな印象があるために、スポーツ性も期待してしまうが、実際のユーザーや使い勝手を考慮すると、ホールド性の高いシートは似合わない。ということになる。

後席では少し気になるポイントとして、天井が低く圧迫感を感じること。個人的には180センチの身長なので、髪の毛が常にルーフに接しており、ヘッドクリアランスは小さい。モーターショーでワールドプレミアされた5ドアモデルではどうなるのだろうか?もちろん、サイズ変更はないから、着座位置を下げるなどの工夫があればいいのだが、このままであると、後席への乗車は遠慮したい。

Audi A1 Sportback S line/FahraufnahmeAudi A1 Sportback S line/Standaufnahme

乗り心地の点では、借用した広報車がコンチネンタルのスポーツコンタクト2で17インチ装着モデルであった。(ミシュランのパイロットスポーツ3も標準装備される)設定サイズは15インチから17インチまであるが、乗り心地では15インチか16インチがベストだ。しかしながらルックスでは当然17インチがベストチョイスとなる。

そのため、特に低速域での乗り心地が硬く40km/h程度の速度では路面のゴツゴツを正直に拾い、突き上げも強く鋭角的な反応となってしまう。80km/hを超え高速走行になるとしっとりとした乗り心地へと変わるので、乗り心地を重視するか、ルックスで選ぶかの選択となるが、本来の性能を引き出して乗りたいので、個人的には16インチをチョイスする。

エンジンは1.4L+ターボでダウンサイジングエンジンである。出力は90kw(122ps)/5000rpm、最大トルクは200Nm/1500rpm-4000rpmという特性がある。馬力はやはり少ないが、200Nmものトルクが1500rpmから発生するので、非常に扱いやすい。そのため、決して非力であるとは感じない。

Audi A1 Sportback S line/Detail

組み合わされるミッションは7速のSトロニック。ツインクラッチである。市街地での発進・停止など半クラッチを多用するような状況でも、ギクシャクすることなくATに近いスムーズさはある。また、アイドリングストップ機能を備え、信号で止まるたびに停止していたことが印象に残る。ただ、もたもたする「とまれ」標識でもアイドルストップするので、少しとまりすぎの印象もある。もっともアイドルストップ機能を停止できるので、実用上問題ない。

ハンドリングでは、初期の応答はいいのだが、やや過敏な反応とも感じる。スポーツライクな印象を演出した結果なのか。直進性は高く安心感は高い。特に高速域ではさすがに欧州基準であることを感じる。操舵感も違和感はなく、ほどよい反応。大舵角になっても大きく切れ込むことはなく、リニアだと感じる。やはり切り始めの初期応答だけが鋭いと感じた。

●価格 ベースモデル 289万円 スポーツパッケージ 304万円 コンペティション・パッケージ 333万円 ●全長3970mm×全幅1740mm×全高1440mm WB2465mm ●最高出力90kw(122ps)/5000rpm、最大トルク200Nm/1500rpm-4000rpm ●全車7速Sトロニック ●10・15モード 19.4km/L

アウディジャパン公式サイト

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