ヨコハマタイヤのSUV用の新スタッドレスタイヤ「ice GUARD SUV G075(ジーゼロナナゴ)」が2016年9月から発売された。
これまでヨコハマタイヤは、SUV用のスタッドレスタイヤとして「ジオランダー I/T-S」が販売されてきたが、今回7年振りのモデルチェンジのタイミングに合わせ、乗用車用スタッドレスタイヤ・ブランド「ice GUARD」のSUV用としてデビューした。
ネーミング変更理由は、SUVのマーケットは、本格的なSUVよりクロスオーバーや都市型SUVが主流になっており、ドライバーの意識も乗用車と同じという意識が強まっているからだという。
ただice GUARD SUV G075は、ice GUARDというスタッドレスタイヤのブランドに統合されたとはいえ、トレッドパターンのデザインは、乗用車用とは違ってSUV用であることがわかるように4本のジグザグ状の主溝に多角形のブロック形状を組合わせ、スマートだがSUVらしい走破性もイメージできるようになっている。
■安心感が高まる試乗テストフィール
試乗の場は、横浜ゴムが2016年に新たに開設した、「北海道タイヤテストセンター」だ。旭川の市街地からも15kmと至近の距離にある広大なテストコース。コース内には、高速コース、圧雪路のハンドリングコースや、完全に凍結させたアイスバーン路面など、スタッドレスタイヤのテストのために不可欠の様々な冬季の道路が再現されている。
今回のテストでは、新登場のice GUARD SUV G075を、これまでの「ジオランダー I/T-S」と比較するという形で行なった。ice GUARD SUV G075の開発コンセプトは、乗用車用のice GUARDと同様の「氷に効く」、「永く効く」、「燃費に効く」、そして静粛性の向上も追求されている。
まずは中速域のカーブが連続する圧雪路のハンドリングテスト向けの周回路を走る。降雪地域で一番多い路面コンディションだ。こうしたコースでは、ハンドルの手応えでグリップ感を確かめることができる。またブレーキをかけた時のABSの作動が早いか遅いかというタイミングもすぐに体感することができる。
ここで、ジオランダー I/T-S とice GUARD SUV G075を乗り比べると、走り出してすぐに、ice GUARD SUV G075グリップ感が強いことが感じられた。さらにブレーキをかけた時のABSやコーナリング時のESPの作動タイミングも遅い。つまり、それだけしっかりグリップしているということだ。また滑り出してからのステアリングの効き、コントロール性もice GUARD SUV G075の方が上手だった。
したがって、走行中にも余裕を感じることができ、「どのライン取りでも大丈夫」という安心感から、コース上における走行ラインの自由度が大きいと感じることができた。
■重量級のSUVにもマッチするice GUARD SUV G075
次は、同じ圧雪路だがタイトコーナーのあるショートコースで、路面も一様ではなく、通常の圧雪路から踏み固めたアイスバーン状の路面まで変化に富んでいる。ここでは、クルマの大きさ、重量が異なる4車種(ランドクルーザー、チェロキー、Xトレイル、ノア)を乗り比べ、スタッドレスタイヤとのマッチングをチェックする。
都市型SUVは言うまでもないが、本格SUVで車両重量も横綱級のランドクルーザーにも十分マッチすることが分かった。もちろん、重量があるためABSの作動タイミングなどは車重の軽いモデルより早く作動するが、タイヤの接地感やコントロール性はしっかり確保されていた。
■ブラックアイスでも安心のice GUARD SUV G075
最後のテストメニューは氷上でのブレーキ性能の確認だ。ユーザーからもスタッドレスタイヤに求める性能で一番期待されているのがアイスバーンでのブレーキ性能だ。実際、降雪地域の市街地での夜間の凍結路面や通過するクルマのタイヤで踏み固められ、つるつるに磨かれたアイスバーンではヒヤッ!としたという経験を多くの人が持っている。いわゆる、ブラックアイスというやつだ。
テストコースのアイスバーンは歩くことも困難というコンディションだ。ここでは2台のトヨタRAV4がテスト車で、1台はジオランダー I/T-S、もう1台はice GUARD SUV G075を装着している。
30km/hでコースに進入し、ブレーキ目標のパイロンを通過した瞬間にフルブレーキを踏む。当然だがABSが作動する。ジオランダー I/T-Sと比べ、ice GUARD SUV G075との差は完全に停止するまでの距離で5mほど短いという結果になった。
また、ブレーキを踏んだ瞬間の減速Gの感覚も明らかにice GUARD SUV G075の方がしっかり感じられ、その後ABSは作動し続け、最後に停止する瞬間もタイヤのグリップ感が感じられた。
圧雪路、アイスバーンを走ってみて、やはり7年分のスタッドレスタイヤ技術の進化は顕著であることが実感でき、実際に走った時の安心感や精神的な余裕の差は予想以上に大きかった。
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