2017年9月8日、東洋ゴムはタイヤの未来形のひとつとして、空気充填不要の近未来型エアレスコンセプトタイヤ「noair(ノアイア)」を開発したと発表した。
東洋ゴムは、空気を内部に充填することで荷重を支え、路面からの衝撃を和らげる、現在の「空気入りタイヤの基本構造」を根本から見直し、空気充填を不要としながらもタイヤの基本性能を備えることをテーマに、2006年からエアレスタイヤの研究に取り組み、2012年5月の人とくるまのテクノロジー展でも、エアレスタイヤの試作モデルを参考出品している。
今回は、過去の試作モデルから抜本的にタイヤ構造を変更し、複数の性能指標を飛躍的に向上させる、実用可能なレベルでの走行が可能となるコンセプト・タイヤを実現した。このコンセプトタイヤは「noair(ノアイア)」とネーミングし、引き続き、実用化に向けた開発を行なうとしている。
ノアイアの特長は、スポーク部は高剛性の特殊な樹脂のスポーク構造として荷重を支持する力を確保するとともに、路面に接するトレッド部分にはゴム部材を用いて、「走る、曲がる、止まる」というタイヤの基本性能を成立させている。
また、スポークとトレッドゴムの間の樹脂で構成する外径リングの内部にCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)を配して補強する工夫により、スポークにかかる荷重を低減している。
過去の試作モデルでは「楕円形のスポーク構造」によって、荷重を支持していたが、ノアイアではタイヤ幅の奥側と手前側を交互に交差させる「X字型スポーク構造」に変更し、耐久力を向上させている。またスポーク本数を過去モデルより倍増(100ピッチ)したことで接地圧を分散させ、接地時に発生するスポークによる打撃音を緩和させ、これまで以上の静粛性を実現しているという。
同社のタイヤ評価開発部に在籍する実車評価ドライバーが行なった実車走行フィーリングテストでは、車内騒音と乗り心地で課題が残るものの、操縦安定性や車外騒音に飛躍的な改善が確認され、殆どの性能指標で市販製品(空気入りタイヤ)に近づいているという。
■ノアイアのスペック:外径540mm×幅140mm