【東京モーターショー2017】ボッシュ 電動化、自動運転、常時接続のソリューションなどを日本初披露

2017年10月20日、ボッシュ・ジャパンは交通事故、ストレス、排出ガスのない未来のモビリティのためのソリューションを展示すると発表した。

■Bosch Road Signature(ロード・シグネチャー)

自動運転を実現するために、車両は自車の正確な位置情報を常に把握している必要がある。ボッシュは現在、車線内の自車位置を数cm単位の精度で把握することができるBosch Road Signatureの開発に取り組んでいる。

これは、車両のレーダーやカメラから得たデータをボッシュのクラウド上で加工し、マップを作成するパートナー企業のクラウドと連携して自動運転に使用できる非常に高精度なマップを作成するものだ。東京モーターショー2017でその仕組みを紹介する。レーダーを使用したRadar Road Signatureの場合、レーダーの特長を活かし、カメラが不得意とする雨天時など視界の悪い環境下でも高精度なデータを取得することが可能だ。

■高度な自動運転(HAD)向けの電動パワーステアリングシステム用パワーパック(フェールオペレーショナル対応)【日本初展示】

高度な自動運転向けに冗長設計された、フェールオペレーショナル対応の電動パワーステアリングシステム(EPS)のパワーパック(モーター/ECU)を日本国内で初公開する。

高度な自動運転を安全に実現するためには、電気系統に万一の故障が起きても、車両が安全な場所まで移動してから停止できるよう、フェールオペレーショナル機能が必要となる。ボッシュが提案するステアリングシステムは、モーターとECUの電子回路が二重設計になっており、系統の1つが故障しても独立したもう1つの系統が最低50%の機能を継続することで、安全な走行を維持する。このパワーパックが搭載されたEPSは、ボッシュの従来品とほぼ同サイズで実現できる見込みだ。

ボッシュ フェールオペレーショナル対応の電動パワーステアリングシステム(EPS)のパワーパック 東京モーターショー2017に出展

■電動パワーステアリング Servolectric EPSapa (ラック軸平行タイプ)

ボッシュが持つ、ステアリングの幅広い製品ポートフォリオの中で、最も大きい前軸量に対応可能な乗用車向けEPSがServolectric EPS apaだ。上述のフェールオペレーショナル機能も、このタイプのEPSを中心に導入が始まる見込みだ。このEPS apaは、SUVやピックアップトラックなど、大きな操舵力を必要とする車両に理想的なソリューションで、スポーツカー、上級ミッドサイズカー、ラグジュアリカーへも対応が可能だ。ボールナットギアと歯付きベルトの組み合わせにより、優れた効率性と低摩擦性を実現し、さまざまな性能要件に理想的な形で応える。また、ボッシュ独自のソフトウェアにより、自動車メーカー各社が訴求する「心地よいステアフィール(操舵感)」を実現している。

■コネクテッドサービスのデモンストレーション車両(コネクテッド デモンストレーター)【日本初展示】

自動車向けのさまざまなコネクテッドサービスを体験できるデモンストレーション車両「コネクテッド デモンストレーター」を日本で初展示する。市場調査会社によればコネクテッドカーの数は2020年までに全世界で2億5000万台に達すると予想されている。

東京モーターショー2017 ボッシュ コネクテッドカー デモンストレーター

クルマが走るモバイル機器へと進化する中、ボッシュ取締役会メンバーのディルク・ホーアイゼル氏は「コネクテッドカー向けのサービスが自動車業界で差別化要因として考えられるようになりつつあります」と述べている。コネクテッド デモンストレーターでは、車載ソフトウェアの無線更新(OTA:over-the-airアップデート)や予防診断、すでに日本でもサービスが提供されているeCall緊急自動通報などのコネクテッドサービスが体験できる。

■単一のコンピュータで複数のディスプレイを統合制御する次世代ヘッドユニット【日本初展示】

今後クルマの自動化、ネットワーク化、電動化が進むにつれ、クルマと乗員の間でやりとりされる情報量が増大するため、乗員にとってストレスなく操作できる包括的なHMIコンセプトが必要となる。

ボッシュは、この包括的なHMIを実現させる次世代ヘッドユニット「コンバージェンス(Convergence)」を日本で初めて展示する。現在、メータークラスターやセントラルコンソールのディスプレイは、それぞれ別のコンピュータで制御されているが、コンバージェンスは単一のコンピュータで複数のディスプレイを統合制御するため、それぞれのディスプレイに表示するコンテンツを互いに協調させることが可能になっている。

■neoSense(ハプティック・フィードバック・ディスプレイ)【日本初展示】

ボッシュの開発した新しいタッチスクリーン「neoSense(ネオセンス)」は、ディスプレイに触れるとハプティック(触覚的)なフィードバックを返すことができる。ハプティック技術により、タッチスクリーン上に表示されるキーは、指で触ると実際のボタンのように触覚的に感じることができるため、スクリーンを見ずにアプリケーション操作が可能になる。

このため、アプリケーションを操作中に視線を道路から余りそらさなくても済み、運転の安全性が高めることができる。このタッチスクリーンは、指で押した圧力の強弱も検知し、例えば、軽く押した場合はヘルプ機能が起動するなど、その圧力に応じた各種機能が作動するよう設定ができる。neoSenseは、CES(Consumer Electric Show)2016イノベーションアワード車載オーディオ/ビデオ(In-Vehicle Audio/Video)部門を受賞している。

■パワートレーンのスタートアップ eアクスルを含むEVステーション【日本初展示】

電気自動車向けのトータルシステムを提案するEVステーションを日本で初展示する。EVステーションには、VCU(コントロールユニット)、バッテリー、DC/DCコンバーター、iBooster(電動ブレーキブースター)、サーマルマネジメントシステムに加え、トランスミッション、パワーエレクトロニクス、モーターを1つのコンパクトなユニットに一体化させた電動車軸「eアクスル」が含まれる。

東京モーターショー2017 ボッシュ eアクスル

eアクスルは、効率を向上させるだけでなく、コストと開発工数の低減にも貢献するため、EVのパワートレーンを容易に実現できる可能性を提供する。

■電動アシスト自転車の新しい選択肢 ボッシュ eバイク・システム【日本初展示】

ボッシュは排出ガスのない小型モビリティである電動アシスト自転車のリーディングカンパニーであり、2018年から日本市場でもボッシュのシステム「eバイク・システム」を搭載した自転車が販売される。

東京モーターショー2017 ボッシュ eバイク

東京モーターショーでは、モーター、バッテリー、ディスプレイ、チャージャーで構成されるボッシュのシステムを自転車フレームに組み込んだ電動アシスト自転車が日本で初めて展示される。このシステムは、静かでスムースな電動アシストの高い機能性と優れたデザイン性を両立しているため、快適なアシストを受けながらもスタイリッシュにサイクリングを楽しみたいと考える日本のサイクリストにとって魅力的な存在だ。

■ガソリン直噴エンジン用コンポーネント

現在のガソリン直噴エンジンは、システム圧力20MPa(約200気圧)が主流だが、ボッシュが提案する高圧インジェクタ・ポンプは35MPa(約350気圧)まで対応可能で、粒子状物質(パティキュレート)を含めたエミッションの低減に貢献できる。今回展示するポンプは、高い静粛性を保ち、また、インジェクターでは、エミッションを低減させるため最適な混合気形成を行なうことができる。

■排気ガス後処理 Denoxtronic 5 (選択還元触媒用AdBlue噴射システム)

ボッシュのDenoxtronic (デノックストロニック)は、ディーゼルエンジンから排出される窒素酸化物を削減させ、燃料消費量の最適化に貢献する排気ガス後処理システムだ。Denoxtronicが、SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒上流で排気ガスにAdBlue(濃度32.5%の尿素水溶液)を噴射すると、尿素は熱分解と加水分解によりアンモニアに変化され、SCR触媒内でアンモニアが窒素酸化物を無害な窒素と水に還元する。

ボッシュの提案する最新のシステムでは、現行の排出ガス規制だけでなく、将来の規制(RDE:Real Driving Emissionsなど )をクリアするためのサポートが可能となっている。

■mySPIN (スマートフォン統合ソリューション)【日本初展示】

二輪車向けのスマートフォン統合ソリューション「mySPIN」を、実際の車両で体感できる形で日本初公開する。mySPINによって、ライダーはスマートフォンの機能やアプリを車両のディスプレイで確認し、さらにハンドルバーで操作できるようになっている。

スマートフォンを操作するために、わざわざスマートフォンを取り出したり、グローブを外したりする必要がなくなるため、利便性が格段に向上。また、ライダーの不注意を減らすことに重点を置いた設計となっており、本当に必要なアプリの情報のみが車載ディスプレイに表示される。mySPINはクラウドにも接続されるため、二輪車メーカーは各ライダーのデータを収集・解析することで、より効果的なサービスをライダーに提供することも可能になる。

■二輪車とパワースポーツ車両向けネットワーク化サービス&システム

現在、自動車のネットワーク化が顕著なトレンドの1つであり、二輪車でもネットワーク化が進んでいる。今回は、二輪車のネットワーク化システムと、それにより提供が可能になるサービスを紹介する。

コネクティビティ・コントロール ユニットが搭載された二輪車は、サービスセンターからさまざまなサービスを受けることが可能になる。サービスの例として、自動緊急通報システム(eCall)、車両の故障を知らせ、サービスセンターが整備工場との連絡を代理で行なうブレイクダウンコール(bCall)、インフォメーションコール(iCall)、サービスセンターが車両の位置特定と警察への通報を行なう盗難車両追跡機能などがある。

また、ネットワーク化によりライダーの安全性を守るサービスとして、二輪車と四輪車の車車間通信(B2V)も紹介。車両から発信される情報により、互いに死角にいる車両の存在について警告を受けとることができ、事故を未然に防ぐことに貢献する。

■メルセデス・ベンツ レスキュー2.0アプリ【日本初展示】

ダイムラー社が配信するアプリで、ボッシュはAR(拡張現実)を使った衝突事故発生時の乗客救助ソリューションを提供している。このアプリを使ってスマートフォンやタブレットなどの端末を事故車両にかかげると、端末には電気自動車やハイブリッド車の燃料流路、高圧ケーブル、未展開のエアバッグの位置などがARで表示される。

これにより、救命士が事故車両の乗客を最短かつ最も安全な方法で救助するのに役立つ。この日本初公開のARサービスには、ボッシュのARサービス開発ツール「CAP」が使用されている。CAPを使用することで、ARの開発工数・コストの削減が見込めるだけでなく、さまざまなサービスへの応用が可能になる。現在ボッシュでは、乗客救助ソリューション以外に、車両の整備へもARを活用するコンセプトを検証している。

ボッシュブース(東1/2/3ホール、E3202)

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