レクサスのSUVラインナップの中核を担うRXが、フルモデルチェンジされ3代目となった。すでに販売が好調のニューカーNXと、日本導入が発表されたばかりのLX、その中間サイズのRXは、今後レクサスの屋台骨を支えることになる。<レポート:木下隆之 Takayuki Kinoshita>
旧モデルに比較してボディサイズは拡大された。特に全長が+120mm延長され4890mmになった。全幅は+10mmで1895mmとなり全高は+20mmで1710mmである。幅と高さの拡大分はわずかだが前後に長くなっており、一層伸びやかな印象を受けたのはそのせいだろう。
特徴的なのはリヤクォーターピーラーのデザイン処理だ。アイキャッチとなるスピンドルグリルは末広がりのデザインとなり、迫力を増している。ピラーのデザインとともに、市街地での目立つ存在になりそうである。
全長の延長はすなわちホイールベースのストレッチ(+50mm)でもある。その余裕分はそのまま後席のレッグスペースにあてられており、乗員の快適性が増すこととなった。そもそもデザイン的にも実際のスペース的にもキャビンは広々感を演出しているから、今回の新型はよりゆったりとドライブが可能なラグジュアリーSUVに変貌したといえよう。
搭載するエンジンは2種類ある。レクサスが誇るV型6気筒3.5Lのハイブリッドを積む「450h」は、販売の7割が期待される。もう1種類は、最近のトレンドであるダウンサイジングターボの「200t」。これにはNXやISに搭載され評判の高い2.0Lターボが搭載される。
それぞれに2WD仕様とAWD仕様がラインナップされて、よりスポーティな走りが楽しめる「Fスポーツ」も、両方のエンジン搭載車に準備されていることは言うまでもない。
試乗インプレッション
走り始めてまず印象的だったのは、乗り心地の良さだ。路面の凹凸が脳天に響くことはまったくなく、フラット感は尋常なレベルではない。SUVという言葉の響きから想像するような無骨感はまったくなく、アーバンクルーズを主体とした使い方でもまったく不満はないだろう。世界一乗り心地のいいミドルサイズSUVといってもいい。
それでいて、ハンドリングの正確さには驚かされた。常に姿勢はフラットを保ち続けており、ステアリング応答は素直なのだ。ステアしたらステアしたその分の量とタイミングだけノーズが反応する。決して過剰でなく足りないということもない。これを「素直」と表現することにした。
ボディはレクサスが得意とするレーザーウエルディングで強化されているうえに、スポット増で抜かりはない。さらには、3点支持のエンジンマウントにもこだわりがあり、エンジンがブルブルと揺れることによる不快なバイブレーションを遮断しているのだ。
サスペンションのバネレートは抑えられ、一方でスタビライザーを強化している。乗り心地が良く、姿勢は乱れず、ハンドリングが素直なのは、これらが高度にバランスしているからであろう。
エンジンはもちろん、かなり強力だ。ハイブリッドの不快なCVTフィールはかなり改善されており、回転の上昇と速度の乗りがシンクロしている。排気サウンドもやや勇ましく、スポーティな走行も可能だ。
2.0Lターボも予想以上に力強い。NXと同じユニットを重量級モデルに搭載することで懸念されたパワー不足を感じることはまったくなかった。むしろ、中速からの伸びやかな印象は心地良い。
その他に、新型RXの進化ポイントは枚挙にいとまがない。予防安全システムはさらにステージを上げているし、使い勝手への配慮も行き届いている。
NXはニューカーゆえに大胆な仕掛けも可能だ。LXはコアターゲットのために個性を磨けばいい。ただRXは、多くの顧客を抱えているために保守的にならざるを得ない。だがしかし、正常進化をしつつも、その歩みは大幅な一歩だと感じた。