メルセデス・ベンツ 新型Cクラス C250/C180限界領域のハンドリングを試す レポート:桂伸一

マニアック評価vol298
メルセデスベンツCクラス 桂伸一 試乗記 000C180、C200より遅れていたC250がようやく上陸し、日本の新型Cクラスのラインアップはひと通り揃ったことになる。

だが、登録前のためメルセデス・ベンツ日本はプレス向け試乗会をサーキットで行なった。今回試乗できたのはC250とC180の2台だ。

◆C180コントロールしやすい限界特性
まずはC180から。多くのジャーナリストが指摘するランフラットタイヤの硬さだが、ランフラットでも良路のサーキット舗装では、当然ながら何も気にならないし、問題ない。このランフラットタイヤ採用に関し、思うところがあり別項で書いてみたい。

メルセデスベンツCクラス 桂伸一 試乗記 001

C180の1.6Lターボは、標準のコイルサスとブリヂストン・トランザ225/50R17の組み合わせ。サーキットなので当然試す速度域が高くなり一般公道ではできないステアリングの過大な切り角、オーバースピードでのコーナー進入、旋回中のハードブレーキング等々、通常以上の入力を与えた時にどういう反応、挙動変化と安定性を示すのか、そこが見物であった。

ストレートスピードは185km/h。第1コーナーまで「150m」標識の手前からフルブレーキングしながら左車線にS字を描くようにステア操作しつつ、コーナーへの進入姿勢を整える。フルブレーキングしながらのステア操作は、通常はバランスを失いやすく、やりたくはないが、そんな心配事などC180の安定性には余計な気遣い。

ブレーキペダルをドンッと踏み込み、ステア操作してもリヤの接地安定性の高さは抜群で、ステア操作のとおりトレースする。不安定な挙動も一切示さず、まったく問題ない。

右へ右へと曲がり続ける100Rは、コーナーの頂点で一端アウトにはらむライン取り。インベタのまま曲がれるか否かを試すチャンスでもあったが、無意識のうちに体がアウトにはらむ速いラインに乗せる動作を行なっていた。ここではアウトにはらんだ所から再度インのエイペックス(クリッピングポイント)の退避路目掛けて右前輪が舗装とダートギリギリを通過するラインに載せる。

その操作も造作ない。つまりアウトに出たところでアクセルを一瞬戻す。リヤタイヤには強烈な横力が入るが、ブッシュが変形、たわむ(見たのか!?)ことなくホイールの位置決めに変化もなくタイヤを路面に確実に踏ん張らせ、逃げない。

不安定な車輌ではそこでタックイン現象やリバースからリヤタイヤがアウトに流れ出す場合もあるが、熟成されたリヤのマルチリンクが横力を確実に受け止め、横には逃がさない。

ただし標準の225/50R17は、旋回でアクセルを戻している時間が長いほど、慣性からリヤは外に流れようとし、速度によってESCが流れを止める方向に軽いブレーキ介入することはある。

富士スピードウエイのタイトコーナが連続する後半セクションは、アンダーステアになりやすいため、旋回中のアクセルOFFによる、いわゆるタックイン現象を使う操作をすると、リヤは若干流れる気配を示すが、基本的にフロントがインを向くような姿勢変化。

富士スピードウェイ コース
富士スピードウェイのコースレイアウト略図。試乗レポートの参考に

 

つまり、曲げやすくなる。タイヤがグリップ限界を越えてもアンダーステアにはなるが、オーバーステアにはならない、いやなりにくいC180のサスペンションとタイヤはコントロールしやすい限界特性であると言える。

◆C250安定感、安心感が高い
一方、エアサスを装備し、前後で異サイズのタイヤを履くC250はどうか?

メルセデスベンツCクラス 桂伸一 試乗記 004

C250は、さすがアクセルを踏んだ瞬間から排気量の違いだろう、トルクの盛り上がりと高回転のパワーによる力量感が違う。加速も速いし、伸び上がる勢い、太いトルク感が大幅に違う。車速はストレートエンドで195km/hに。

1.6Lと2.0Lのエンジンの差がわずか10km/hかと思うだろうが違う。C180は185km/hに到達した感でそこからの車速の伸びは牛歩。C250はまだ速度を延ばす加速途中の速度であり、やはり排気量分の余裕があり、その速度に到達するまでの時間が早い。

C250はエアマチックサスペンションに加えて、グリップ力、乗り味の滑らかさ、真円度の高さ、静粛性など、スポーツ系ながらトータルバランスに優れたタイヤと評価できるコンチネンタル・スポーツコンタクト5を装着している。225/40R19、255/35R19と、前後異径サイズなのは運動性と安定性の両方狙いだ。

メルセデスベンツCクラス 桂伸一 試乗記 002 メルセデスベンツCクラス 桂伸一 試乗記 003

C250の旋回速度と旋回途中の自由度の高さ、つまり旋回中でもさらに切り込みに応答するほどステアリングが効くというフロントの余裕と、リヤの絶対的な安定性がさらに高い領域にある。アクセルをOFFしようが、ONだろうが、弱アンダーステアに逃がすことはあっても、決してオーバーステアにしない安定性はドライバーに安心感を与える。

これがCクラスの操縦安定性のすべてか?いや、まだ書き足りない。自動操縦も含めCクラスのハンドリングについては、あらためて書きたいと思う。

メルセデス・ベンツ公式サイト

ページのトップに戻る