この記事は2018年10月に有料配信したものを無料公開したものです。
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アメリカで、国民、消費者に大きな影響力を持つ「コンシューマーリポート」(非営利の消費者組織であるコンシューマーズ・ユニオンが発行している月刊誌)は、初めて運転支援システムの、特にアACC(ダプティブクルーズ・コントロール)機能に特化した評価を行なった。コンシューマーリポートはこれまでもアメリカで販売されているクルマに対し、徹底した客観的評価を継続的に行なっていることで知られているが、先進技術の運転支援システムの評価を行なったのは初めてだ。
ただし、今回は各メーカーの運転支援システムを網羅してテストしたのではなく、GM、テスラ、日産、ボルボの4メーカーに絞り込んでいる。今後は各メーカーの運転支援システムがコンシューマーレポートでテストが行なわれると予想される。
なぜACC機能に絞ったのかと言えば、ACCが日常的に使用されるシステムだからだ。特にアメリカでは、昔からクルーズコントロールの市場要求が高く、現在の先進的なアダプティブクルーズは、多くのアメリカ人が積極的に使用しているからだ。
今回のテストは、コンシューマーレポートが保有する広大な自動車テストコースと、その周辺のハイウェイで行なわれた。
スピードコントロールとステアリングアシスト機能テスト
テストは、システムのスピード制御とステアリングアシスト能力についてテストしている。クルマが車線の中央にうまく収まっているか、車線にどれくらいの頻度で接触したか、そして何回車線を逸脱したかを調べている。
車線の状況として直線路、カーブ、レーンチェンジにおいて、各システムの性能を測定した。さらに、スピード制御では、高速道路、パーキングエリア、路肩に他車が停車している場合、先行車への接近、および先行車が車線を去った時の能力を評価している。
テスト結果
これらのテストで、テスラの「オートパイロット」とキャデラックの「スーパークルーズ」は明らかに勝っていた。この2社のACCは、適正に加速して減速し、数マイル走行しても車線の中心を確実に維持することができた。一方で、日産とボルボのシステムは、曲がりくねった道路や丘陵部の道路では頻繁な車線逸脱が生じていた。
その理由として、日産はドライバーが運転に関与しなくなることをなくすために、意図的に車線間のセンタリング機能を抑制していると述べている。 クルマのコントロール性能をあまりにも高レベルにすると、ユーザーが運転上の役割をしなくなる可能性があるという研究結果とも合致している。ボルボも同様の発想で、ドライバーがシステムに過度に依存しないようにしているという。
システムの操作性のしやすさを評価
ドライバーがシステムにどれだけ早く慣れ、システムの設定や調整がしやすいのかを評価した。またドライバーに表示された情報の種類と量、そしてドライバーにそれがどれほど明確に伝わっているのか、認識できるのかもテストした。
テスラのオートパイロットは、設定が簡単にでき、かつ、システムがオンかオフなのかが容易に判別できた。他のシステムはすべて、システムを起動するには複数のステップが必要となっている。また、情報表示では、テスラは、クルマのセンサーが認識できるものについての情報を、独自のディスプレイを使ってドライバーに表示している。
日産の「プロパイロット」は、目の前に車両がない限り、低速では操作できない。だが、この制限を理解させる表示はディスプレイにはない。日産によれば、それも意図的にしていることだという。
キャデラックは、2018年春にスーパークルーズのシステムを更新し、システムがいつ利用可能になったかについて、より明確な情報を表示し、ドライバーがシステムをオンにするのを容易にしている。キャデラックは必要に応じてシステムを更新し続けている。
ボルボは、ディスプレイの表示面積が狭く、システムの稼働状態が見えにくい。また操作方法も直感的ではなく4台の中で最も低い評価となった。