【GM】キャデラック エスカレード試乗記 豪快な走りはまさに王者の風格 レポート:九島辰也

マニアック評価vol122
輸入販売元の変更でより身近な存在に

フルサイズのアメリカンSUVを代表するキャデラック エスカレード。だが、いまでこそ王者の風格をプンプン漂わせるが、その誕生は少々慌ただしいものだった。

GMキャデラック・エスカレード画像

世界最大のマーケットの北米でラグジュアリーSUVが本格的になったのは1997年。この年、メルセデスがMクラスを、リンカーンがナビゲーターを市場投入した。
メルセデスベンツMクラスとリンカーン・ナビゲーターは爆発的な販売を記録する。リンカーンに至っては、販売台数がキャデラックを上回ってしまったほどだ。

そこで慌てたのがGM。すぐさまシボレーの兄貴分にあたる商用車部門のGMCにラインアップされていたユーコン デナリにキャデラックのバッジを付けて発売した。1999年のことである。

もちろん、この段階ではGMの開発陣はもちろんマーケットも納得はいかず、すぐさま対応策が取られる。そして2002年にオリジナルとなるエスカレードをリリース。インパネの時計がブルガリだったことでも話題になった。

GMキャデラック・エスカレード画像

ちなみに、GMは1999年にトラック部門のシャシーフレームを現代版に一新している。まずはピックアップのシルバラードから行い、翌年シボレーブランドではタホやサバーバンに採用した。つまり、ここで肝心なのは初代エスカレードと二代目ではフレームから違うということ。古典的なGMT400型ラダーフレームは、より快適性を求めたGMT800(マグナ社製)にスイッチしている。具体的に言えば、前後リジッドアクスルをリヤ独立懸架式に変えた……。

なんて話をするととまらないのでこの辺にしておくが、現行型は2007年にリリースされた3代目となる。フレームはGMT900。GMT800と同じリヤ独立懸架式で、さらに剛性を上げている。また、ストレッチなどにも対応し、ショートホイールベースから6ホイールのヘビーデューティモデルまでしっかりこなす。

ではなぜ、キャデラック エスカレードを今一度フューチャーするのか?それは日本市場において今年から輸入販売元が三井オートモーティブからGMジャパンにスライドされたからだ。これにより仕様の変更と価格改定が行われた。

GMキャデラック・エスカレード画像

GMキャデラック・エスカレード画像

2.6トンのボディをものともしない大トルクの6.2L・V8型OHV

詳細はカタログをじっくり眺めてほしいが、キャデラック エスカレードのラインアップを簡潔にいうとグレードはスタンダードと上級のプラチナム。価格はそれぞれ849万円と990万円。GMジャパンによれば、これまでより装備を充実させ、さらにプライスダウンを決行したというから頼もしい。やはりその辺はGM直系のメリットであろう。コンシュマーサイドからいわせれば、じつにありがたい。

GMキャデラック・エスカレードのエンジン画像

キャデラック エスカレードのパワートレーンは、6.2L・V8型OHVで最高出力409psを発揮する。OHVと聞いてクラシカルなイメージを持たれるかもしれないが、ヘッドまわりには可変バルブタイミングが付くばかりかブロックはアルミ製となる。それにキャディラックCTSを見てもらえばわかるように、V8型ユニットのツインカム化はすでに行っている。それでもあえてOHVとするのは低回転域でのトルク特性を着目しているため。あの出足のトルク感はキャデラック エスカレードには必須用件だ。

GMキャデラック・エスカレードのレポート画像

ということで、実際に走ると飛び出しは電気自動車以上とも思える大トルクで2.6トンのボディを押し出す。しかもそこからの伸びがすごく、どこまでも加速していく感じだ。思ったよりフワフワしてなく乗り心地もしなやかに感じる。イマドキのヨーロピアンSUVのようなスポーティなハンドリングではないが、高速エクスプレスとして信頼の領域にあることは間違いない。撮影場所に着いて驚いたが、22インチの乗り心地とは思わなかった。

GMキャデラック・エスカレード走り画像

キャデラック エスカレードの乗り心地にはマグネティックライドコントロールが効いているのだろう。各部センサーが路面状況や走行環境をモニタリングしてダンパーの減衰圧を変化させている。なかなかお金のかかっている装備だ。

それはともかく、ゆったりした気分でドライビングできるこのキャラクターは絶妙。セコセコした気分にならずに目的地へ着ける。実際に月に一度くらいはマリーナからクルーザーを出しているが、この感覚はそれに似ている。まんまクルーザーだ。

GMキャデラック・エスカレード室内画像

GMキャデラック・エスカレード室内画像GMキャデラック・エスカレード室内画像

キャデラック エスカレードのインテリアはこれまたゴージャスな仕上がり。といっても過度な装飾が施されたわけではなくセンスがいい。インパネまわりのウッド使いやアナログ時計などはミッドセンチュリー風。それに広々としたキャビンは特筆もの。日本仕様は3列シートとなるようだが、シートアレンジに不自由はない。3列目は取り外しもできるそうだから、普段外しておくのも手だろう。

GMキャデラック・エスカレード室内画像
補助確認装置(フロント / サイドビュー カメラ システム)

といった内容のキャデラック エスカレード。プラチナムにはリヤシートエンターテイメントも充実しているからほとんど手をかける必要は感じない。でもちょっといじりたいのがアメリカ車の妙。メッキ部分をすべてブラックアウトして……なんて妄想が広がる。

 

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COTY
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