マニアック評価vol132
BMWの通常のカタログモデルとMモデルの中間を埋めるため、BMW AGとBMW M GmbHとのコラボレーションにより、新たにBMW M Performance Automobilesというカテゴリーがつくられた。本国ではM550dという5シリーズのセダンとツーリング、X5M50d、X6M50dというハイパーディーゼルエンジンモデルがすでに登場しているが、日本に導入される最初のモデルはこのM135iになる。
この新たなモデルは、1シリーズの3ドアと5ドアを含め、最高峰の位置付けとなる。エンジンは3.0L、直列6気筒、ツインスクロールターボ、直噴、バルブトロニックを備え、最高出力235kW(320ps)/5800rpm、最大トルクは450Nm/1300rpm−4500rpmを発生する。搭載されるエンジンは335iと同じであるが、335i用が225kW(306ps)/5800rpm−6000rpm、400Nm/1200rpm−5000rpmだが、それよりパワーもトルクもアップされている。それでいて車重は1515kgと335iより80kg軽いから0−100km/hは4.9秒と俊足だ。
M1ではなく、M135iというネーミングであるが、Mのバッジを付けているだけあって、サスペンションもMモデルらしく強化されている。車高は10mm下げられ、バネ、ダンパーも硬められている。
フロントは大きな空気取り入れ口がMの雰囲気を出している。このエアインテークはターボのインタークーラーだけでなく、ブレーキ冷却用にも使われる。もちろんエアロダイナミック性能も考慮されている。リヤはエキゾーストパイプが左右2本に別れたデュアルエキゾーストで、スポーティさが強調されている。リヤウインドウは小型で、上下寸法を縮小し横方向を強調するデザインになっている。
ホイールもダブルスポークでM風に仕上げた18インチで225/40R18・88Yと245/35R18・92YXLのミシュラン・パイロットスーパースポーツを履く。ブレーキキャリパーはブルーにMマークが施され、フロントは4ピストンの対向キャリパーだ。
インプレッション
BMWの本拠地ミュンヘンで試乗してきたので、そのインプレッションをお伝えしよう。
1シリーズハッチバックという小振りのボディに強力なエンジンを搭載し、硬めたサスペンションというと、ジャジャ馬を想像するかもしれないが、エンジンをかけて実際に走り始めると、軽快で扱いやすいことがすぐにわかる。ゴツゴツ感はないが路面の状況が良くわかる程度のハンドル手応えがあり、ちょうどいいスポーツ度である。
軽快だ、というのはアクセルペダルの踏み込みに対して軽く動くと感じるからだ。アクセルが過敏ということではなく、ペダルの踏み込みに対してリニアに反応するということ。もっと踏み込むと、その分が正確に加速力に変わるからドライバーにとっては操っている感触がとてもいい。踏み込むほどに加速力が高まっていく感じも気持ちいい。
加速力は0-100km/が5秒を切る実力を持つが、アウトバーンでアクセルペダルを床まで踏み込めば200km/hまであっという間に到達する感じだ。200km/hを越えてからもスピードは上がり続け、リミッターである250km/hをメーター上ではオーバーする。200km/hオーバーの世界でもふらつくこともなく、どっしり安定しているし、ハンドルも軽くならず直進性が良いので、極端にいうとビギナーでもアウトバーンを飛ばせるクルマだ。
ワインディングロードでは3シリーズよりホイールベースが短く、軽量なことが軽快な走りにつながっている。コーナリングはハンドル角に正確で、ターンインでノーズはきれいにインを向いていく。フロントに直列6気筒+ターボが搭載されているような重い感じは受けず、無理している感じがない。きっとエンジンマウントも強化されているからだろう。
このM135iでもドライビング・パフォーマンス・コントロールスイッチを後ろ側に押すだけでECOPROモードを選ぶことができる。アクセルペダルのゲインを下げるだけでなく、ATやエアコンのプログラムを変えて、瞬間燃費計にはアクセルペダルの踏み込み度合いをアドバイスする表示も出て、燃費を稼ぐことができるのだ。
このようなスポーツモデルとはいえ、いつもバンバン走るだけでなく、あるときは燃費を稼ぐ運転もしやすくなっているのだ。これがハードウエアだけでなく、ドライビングというソフトウエアでのEfficient Dynamicsと言えるだろう。M135iは、日本の道に合ったサイズとBMWらしい走り味で、日本でも人気が出るだろう。
↑↑ M135i 3ドア ハッチバック
↑↑ M135i プレミアムスポーツコンパクトにふさわしいインテリアとMのスカッフプレートが付く