アウディ 26年のF1参戦に向けパートナーをザウバーに決定

アウディ本社とアウディスポーツは2022年10月26日、アウディのF1プロジェクトの戦略的パートナーとしてザウバー・チームを選択し、ザウバーグループの株式を取得する予定だと発表した。このパートナーシップにより、長い伝統を誇るスイスのザウバー・レーシングチームは、2026年以降モータースポーツの頂点で戦うために、アウディが開発したパワーユニットを搭載し、アウディ ファクトリーチームとしてF1グランプリに参戦することになる。

オリバー ホフマン術開発担当取締役(左)とアウディのマルクス・ドゥースマン会長

アウディは8月末にF1参戦を発表しており、そのプロジェクトを実行するの戦略的パートナーを決定したのだ。ザウバーはレーシングチームとして約30年という長い経験を備えたチームだ。

パワーユニットはノイブルク・アン・デア・ドナウ(ドイツ)にあるアウディのモータースポーツ コンピテンス センターで製造される一方で、ザウバーはヒンヴィール(スイス)の拠点でレースカーの開発・製造を担当する。もちろんザウバーは、レース運営の計画と実行も担当する。

アウディのオリバー ホフマン術開発担当取締役は、「私たちの野心的なFormula 1プロジェクトのために、経験豊富で有能なパートナーを迎えることができて嬉しく思います。私たちは、ザウバー・グループが最先端の設備を持っており、これまでの協力関係からチームが豊富な経験を備えていることを知っています。私たちアウディは、彼らとともに強力なチームを作ることができると確信しています」と語っている。

アウディは以前から、ルマン参戦時代と、DTM(ドイツ ツーリングカー選手権)用のレーシングカーの開発において、ノイブルク・アン・デア・ドナウからクルマで約4時間のヒンヴィールにある、ザウバー・グループのハイテク風洞施設を定期的に使用してるなど、関係は深い。

F1参戦のため、電気モーター、バッテリー、制御システム、内燃エンジンから構成されるパワーユニットの開発は、ノイブルク・アン・デア・ドナウに設立された新会社、「Audi Formula Racing GmbH」の施設で本格的に始まり、すでに120人以上の従業員がこのプロジェクトに取り組んでいる。

同社のマネージングディレクターであるアダム・ベイカー氏は、「ザウバーは、アウディ製パワーユニットを搭載するための最高のパートナーです。F1の歴史に数多くの功績を残してきた経験豊富なチームと協力できることを、今から楽しみにしています。2026年に始まる新しい世界の扉をともに開きたいと思っています」と語っている。

アウディは、F1の2026年シーズンの最初のレースに参戦するために、すでに綿密なスケジュールを策定しており、2023年にはスタッフ、建物、技術インフラ面におけるノイブルク拠点の拡張が、ほぼ完了する予定だ。2026年のレギュレーションに合わせて開発されたパワーユニットF1テストカーに搭載する最初のテストは、2025年に予定されている。

F1は、2026年から導入される新しいレギュレーションにより、持続可能性に向けて大きな変革期を迎える。これは、アウディがF1に参戦を決定するための重要な前提条件となっているのだ。

そのパワーユニットは、電動化の比率が大幅に増加され、現在よりも高効率化される。電動ドライブトレインは、400kW(544ps)を発生する内燃エンジンと同等のパワーを発揮する。きわめて効率的な1.6Lターボエンジンは、CO2ニュートラルで持続可能な合成燃料で作動。F1は、さらに2030年までにCO2ニュートラルなレーシングシリーズになるという目標も設定しているのだ。

一方、同じフォルクスワーゲン・グループのポルシェも同じタイミングでF1に参戦する計画であるが、パートナーとして協議していたレッドブル・レーシングとは決裂してしまった。レッドブルはポルシェをパワートレイン供給に限定することを想定し、ポルシェはレッドブル・レーシングの全体のコントロール化に置くことを望んでいたのだ。

このため、ポルシェは改めてパワートレインを搭載するチームの決定を行なうことになっている。現時点ではウイリアムズ・チームと交渉を煮詰めていると噂されている。

ザウバー F1チーム 公式サイト

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