新車を乗り継いでいる人には無縁かも知れない中古車の世界。しかし、そこには独特の楽しさがあります。中古車には新車と違って1台ごとに異なるヒストリーがあり、新車同様の極上車から、故障続きでまともに走らないポンコツまで、その個性は実にさまざま。個体差があるため、成功と失敗が紙一重というギャンブル性のある買い物でもあります。
そんな摩訶不思議な中古車の魅力について、今回はネットオークションでクルマを安く買う楽しみかたをご紹介します。<レポート:北沢剛司/Koji Kitazawa>
■中古車を選ぶことで人生が楽しくなる?
中古車を選ぶ人たちは、基本的に新車を買う資金的余裕がない人、あるいは、少しでもクルマを安く買いたい人というイメージがついています。それはあながち間違いではありませんが、中古車には新車にはない魅力があることを忘れてはいけません。それは、トレジャーハンターのようなクルマ選びの面白さです。
■ハイリスク・ハイリターンなネットオークション
そんな中古車選びの醍醐味をもっとも堪能できるのがネットオークションです。ただ、基本的に補償なし・現状渡しの売り物がほとんどのため、購入後にトラブルに見舞われても自己責任で修理するしかありません。
筆者のまわりでは、ヤフオクで高級輸入車ばかりを買う友人がいます。しかも新車の軽自動車さえ買えないような金額で、ジャガー XJやメルセデス・ベンツ Sクラスなどを買ってくるのです。当然ながら購入後に故障に見舞われる場合がほとんどですが、本人はまったく気にしていません。わずか数十万円で世界屈指のラグジュアリーセダンに乗れるという、唯一無二の体験を楽しんでいるのです。
■官公庁オークションでお宝発掘
ヤフオクで注目したいのは、定期的に開催される官公庁オークションです。文字通り、官公庁で使用していた公用車、はたらく自動車、さらに税金滞納により差し押さえられた車両などが出品されます。官公庁で使用していた車両には消防車や救急車、バス、ごみ収集車などもあり、その気さえあれば基本的に誰でも購入することができます。
公用車は走行距離が伸びている反面、定期的に稼働していて整備もきっちり受けている車両の場合は、思わぬ掘り出し物になる可能性があります。また普通には買えない消防車や救急車などは、比較的安価で購入できる場合も多く、その筋のマニアにとってはまたとない機会といえます。
■ネットオークションの注意点
ネットオークションでの中古車選びは、安さと面白さでは最高の購入方法といえます。その反面、失敗する危険性がもっとも高いのも事実です。なかには業者が実店舗では売れない状態のクルマをネットオークションに出品したり、購入後に名義変更ができないというトラブルもあります。また、前オーナーが喫煙者だったり、動物を乗せていたクルマの場合には、特有の臭いが残っている場合も考えられます。それらは限られた写真と説明文だけでは分かりにくい部分なので、できる限り実車を確認した上で購入することをお勧めします。
また、初度登録13年以上経過した車両は自動車税と自動車重量税が高くなり、18年を超えると自動車重量税がさらに重課となります。車両代金は安くても税金面では負担増になる可能性があるので、その点を納得した上で購入する必要があります。
このようにネットオークションでの中古車選びは、「当たればラッキー。外れても納得」という姿勢が基本です。宝くじを買うようなつもりでクルマ選びをするのが、中古車を楽しむコツといえるでしょう。