アウディ ジャパンは2020年7月31日、アウディ ブランド初の電気自動車「e-tron スポーツバック」を9月17日に発売することを公表しました。また充電に再生可能エネルギーの利用を促進する戦略も併せて発表しました。
電動化戦略と日本での施策
アウディ本社は2018年9月に電気自動車のSUVモデル「e-tron」を世界初公開し、電動化攻勢を開始しています。アウディは2025年までに、世界の主要な市場で20モデル以上の電気自動車(バッテリー エレクトリック ビークル=BEV)を発売して、電動化モデルの販売台数を全体の販売台数の約40%にすることを目指しています。
電動化ラインアップには新開発の電気自動車群に加え、セダンやアバント(ワゴン)など従来型のボディを備えたプラグインハイブリッドモデルも導入します。今後のラインアップは、コンパクトクラスからラグジュアリークラスに至るまで、あらゆるセグメントの電動化を目指す予定としてます。
日本市場における電動化攻勢の幕開けは、9月17日に発表するこの「e-tronスポーツバック」から始まり、「e-tronSUV」がそれに続きます。e-tronモデルはアウディが推進するサステイナブル(持続可能)な未来への懸け橋としての役割を持つモデルですが、より先進的にCO2削減へコミットできることを目指し、アウディ ジャパンは自然電力と連携して、e-tronのオーナーへ定額の割引付きで再生可能エネルギーを提供することにしています。
e-tronの購入にあたって自然電力が提供する「自然電力のでんき」との契約を結んだオーナーには、毎月1000円の電力料金割引が1年間適用されます。また発売時に52店舗を予定しているe-tron販売店に対しても、実質自然エネルギー100%の電力の使用を奨励していきます。
e-tron販売ディーラーの新設と充電サービス
ブランド初の電気自動車e-tronを導入するにあたり充電設備などに関する準備も進められています。高電圧バッテリーを搭載するe-tronのような電気自動車は、内燃エンジン車とは異なる、新しいサービス体制の構築を必要とするからです。
正規販売店ネットワークとアウディ ジャパン豊橋PDIセンターの両方で、e-tronの導入と修理メンテナンス体制の構築を進めており、e-tronの販売と修理が可能な「e-tronディーラー」は、北海道から九州までをカバーする52店舗でスタートする予定となっています。
日本仕様のe-tronの充電は、標準装備として家庭向けの普通AC(交流200V)充電器と、主として公共設備用の急速DC(直流)充電器とが使用できます。公共の充電器としては全国に7800か所に設置されているCHAdeMO規格の急速充電器(出力50kWまで)が利用可能となってます。
e-tronの容量95kWhのバッテリーをフル充電するには、50kWの出力の急速充電器で1時間半以上かかりますが、通常の電気自動車のリチウムイオン バッテリーは、バッテリー保護のため通常SOC(使用可能電力量)のゼロから100%まで最大出力で充電し続けることはできません。
しかしe-tronはバッテリー制御と温度管理により、急速充電器の場合でも満充電に近いレベルまで高速の充電スピードを維持できることが大きな特長となっています。充電の最大出力の数値が高いことも重要ですが、それと並ん、最大出力での充電をどれだけ長い時間維持できるかは、実際の充電時間に大きく影響を与え、日常の使い勝手に直結するので、e-tronはより優れた充電性能を備えていると言えます。
アウディ ジャパンはe-tronの導入に合わせ、アウディ チャージングサービスを提供し(1年目のみ月会費5000円が無料)、全国約7800カ所の急速充電器のうち約86%をカバーする「合同会社 日本充電サービス(NCS)」加入の充電器で利用可能です。普通充電を含めると、2万1700カ所(2020年4月現在)の充電ステーションが利用可能となります。
また同時に、自然エネルギー100%の社会の実現を目指す、自然電力株式会社(本社:福岡県福岡市)と連携して電気自動車のCO2排出量の低減に重要な役割を果たす、自然エネルギー由来の発電による電力を、e-tronのオーナーの選択肢として紹介することも発表しました。