【BMW】ニューBMW3シリーズ328i(F30)詳細解説 プラットフォーム、エンジンも刷新 待望のディーゼルは?

マニアック評価vol78
3シリーズは初代のモデルコードE21(1975年〜)から始まり、1代目のE30(1983年〜)、2代目のE30(1983年〜)、3代目のE36(1990年〜)、4代目のE46(1998年〜)、5代目のE90(2005年〜)であり、永く続いているBMWの屋台骨を支える重要なモデルだ。その3シリーズが6代目に進化してまったく新しいプラットフォームを持つF30となった。

新型BMW3シリーズはF30の呼称で、プラットフォーム、エンジンも刷新される

エクステリア

初代から変わらないBMWのデザイン・アイデンティティは丸いライトとキドニーグリル、ホフマイスターキンクと呼ばれる逆くの字のCピラー形状、サイドのキャラクターライン、四隅に配置されたタイヤレイアウトなどはもちろん6代目になっても継承されている。6代目の3シリーズのデザインを担当したのは、BMWデザイン部門のクリストファー・ヴァイル氏である。

ボディサイズはモデルチェンジ毎に大きくなっている。これは衝突安全性と乗る人間の身長の伸びに対応するためだ。ドイツ人はこの10年で平均身長が1cm伸びているそうで、初代から見ると3cm以上も大きな人が乗れるようになっているということだ。(どんだけデカくなるんだろう・・・ドイツ人)

全体の大きな流れがわかったところで、F30となった新型3シリーズの解説しよう。

先代(E90)と比較して全体のシルエットは良く似ている。しかし前から見ると新型は幅広く大きく見えるようになった。横幅が相当大きくなったのかと思ったが、先代の全幅は1817mmだったのに対し新型は1811mmと6mm狭くなっている。

実はこの全幅はフロントドアハンドルの外側の寸法で、ご存知のように日本仕様はドアハンドルを薄いものにして1800mmに収めている。したがって新型3シリーズも日本仕様の全幅は1800mmになるようだ。それでも先代に比べてボディ部分での全幅の拡大はされている。全長は+93mmで、ホイールベースは+50mmである。

新型が大きく見えるようになった理由はまだある。先代までは上から見ると、ボディ形状が前後絞られたように狭くなっていたが、新型はこの絞込みをあまりしない形状にしたからだ。それにより先端部分の幅は広がり、それに合わせてトレッド(左右のタイヤ中心間の距離)も広がった。これでライバルのCクラスやA4と比べても3シリーズなりの存在感が出たと思う。しかしながら、それでも先代に比べてクルマ全体で40kgの軽量化を果たしている。

新型3シリーズのデザイン上の特徴はライトとキドニーグリルの部分だ。ライトカバーの形状が目頭のところがキドニーグリルまで伸びている。キドニーグリル横の一部のクロームが見えるようになったのはBMWデザインとしても新しい試みであるし、新型3シリーズだけのアイコンにもなるだろう。

バンパー下部の左右にはエアカーテンと呼ぶ縦長のエアインテークを設置したのも新しい。前輪部分の空気抵抗を減少させ、高速走行時の燃料消費を抑えることができるという。このインテークからフェンダー内部にプラスチック製のダクトを通しているわけで、この3シリーズではコストアップを惜しまず空気抵抗をダウンさせようという意図が感じられる。これにより空気抵抗係数Cd値は、E90が0.28だったが、F30では0.26へと向上している。

インテリア

新型3シリーズのインテリアは、世間で評価の高いアウディに負けないようにかなり力を入れたのだろう。デザインだけでなく質感も向上しているのは誰にでも判る。

コクピットはドライバー側へ7度オフセットしている。BMWらしくドライバーの動きを基準にデザインされたわけで、運転操作のために最適なポジションにレイアウトされている。ステアリングホイールより上の部分は情報を得るゾーン、下の部分は操作するゾーン、運転席側はドライビングに関連するゾーン、センター寄りは直接運転に関係しないオーディオやエアコンなどに関連するゾーンに分けられている。これはBMW全車に共通するコクピットデザインで、これをマスターしてしまえば、どのBMWに乗ろうと戸惑うことはない。

iDriveのモニター画面はより薄型になり、ダッシュボードの上に飛び出したように設置してある。ナビ画面はもちろん、オーディオ、様々な設定、情報などもこの画面から得ることができる。オプションではあるが、フルカラーのHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)も装着可能になった。走行スピード、クルーズコントロールのスピード、ナビの指示図、いろいろな情報をインパネまで目線を下げなくても確認することができるのだ。

シャシー

F30型のプラットフォームは、先に発売された1シリーズと共通化され、今後のBMWの小型車用プラットフォームと位置付けられている。

サスペンション形式は先代と変わらず、フロントはダブルジョイント式のロアアームを持つストラット、リヤはマルチリンクである。しかし新しい1シリーズと同じように、ハンドリング性能を高いレベルに保ちながらも快適性を大幅に向上させている。

その大きな要素となるのがストラット・マウント部の入力分離方式である。ダンパーから入る入力とバネから入る入力をそれぞれ別系統でボディに伝えるようにした。ソフトな入力のバネにより、さらにしなやかな乗り味を出すと同時に、ダイレクトなダンパーの支持によって、よりしっかりしたダンピングとハンドリングを確保している。

ソフトな乗り心地に貢献しているのはサスペンションだけでなく、タイヤの効果も大きい。BMWはMモデルとアルピナを除いて全車RFT(ランフラットタイヤ)が標準になっているが、ブリヂストン流に表現すると第3世代のRFTになったからだ。サイドウォールの過剰な補強をしなくても済む技術のお蔭で、ノーマルタイヤに比べてRFTは5%硬い程度に収まるようになったからだ。

ボディの4隅に収まるタイヤの位置も先代(E90)よりさらに広がった。ホイールベースは+50mm、フロントトレッド+37mm、リヤトレッド+47mmとなり、室内空間が広がっただけでなく、走るときにはより安定感を増し、より踏ん張れるようになったのだ。

エンジン

新しい3シリーズに搭載されるエンジンはすべてターボチャージャー付になった。本国で発表になったエンジンは、ガソリン2種、ディーゼル2種である。

新開発されたN20B20型エンジンは先端技術満載の内燃機関

328iに搭載される2.0L直列4気筒ガソリンは「N20B20 O」と呼ばれる。200barの高精度ダイレクトインジェクションシステム、ツイン・スクロール方式のターボ、可変バルブタイミングのダブルVANOS、無段階バルブ・リフトのバルブトロニックを採用するなど、これでもかというほど技術満載のエンジンである。性能は180kW(245ps)/5000rpm-6500rpm、350Nm/1250rpm〜4800rpmを発揮する。0〜100km/h加速は5.9秒、最高速は250km/hである。

欧州の測定値では6.4L/100km(日本風の単位では15.6km/L)CO2排出量は149g/kmである。このエンジンと基本は同じでややパワーを抑えた320i用の「N20B20U」もいずれ登場するはずだ。圧縮比は11.0。これはターボ付きとしては非常に高い圧縮比である。

335iは3.0L直列6気筒ターボエンジンが搭載される。225kW(306ps)/5800rpm〜6000rpm、400Nm/1200rpm-5000rpmというパワーとトルクを搾り出し5シリーズや先代の3シリーズで実績のある「N53B30」が搭載される。

ディーゼルは2種類が用意されている。320d用は135kW/4000rpm、380Nm/1750rpm〜2750rpmを発揮し、燃費は4.4L/100km(22.7km/L)、CO2の排出は119g/kmと立派である。そのうえ、燃費スペシャルともいえる320d 〜Efficient Dynamicsエディションの性能はさらに魅力的だ。120kW(163ps )/4000rpm、380Nm/1750〜2750rpmという力を発揮しつつも燃費は4.1L/100km (24.4 km /L)、CO2排出量は109g/kmと驚異的な燃費なのだ。

他に3シリーズでは、発表会場ではまだバルーンの中に隠され、お披露目はされていなかったが、フルハイブリッド車 Active Hybrid3 も登場する予定。しかし、これについては詳細発表されていない。これらのシリーズの中で日本仕様はまず328iから導入される。

 

トランスミッション

本国では6速MTと8速ATの選択ができる。いくらプレミアムとはいっても、1シリーズ、3シリーズとC、Dセグメントに8速ATは異例といえる。

セレクターレバーも電子シフトになり、手首だけの動きでシフト操作が可能になった。ギヤが入った状態でエンジンを切ると自動的にPレンジに入るのも、便利で使いやすい。この電子シフトは5シリーズ、6シリーズ、7シリーズ、X5、X3、Z4などすべて共通だ。

MTは6速でATが8速になったため、燃費はATの方が良くなった。日本ではほとんどがATだから、この燃費向上はありがたい。段数が多いのでクルージングギヤレシオを高く設定することができエンジン回転を抑えられるからである。

なお、このニューBMW3シリーズの 国内導入はまもなく開始される。

 


COTY
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