EV時代を迎えつつある今、エンジン車と電気自動車の歴史を振り返る

メルセデス・ベンツ博物館に、130年前の「シュレッダーカー」が展示されている。1892年製のこのダイムラー車は世界で最も古いプレステージカーとされている。 このエンジン車は、1885年に世界初の自動車(特許モーターカー:3輪車)を開発した後に、ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(DMG)を設立し、最初に製造販売したモデルであり、1892年当時は非常に高価であった。実際に生産された台数きわめて少数で、この革新的な交通手段を享受できたのは、ごく一部の選ばれた顧客だけだったのである。1895年、DMGはわずか12台のモーターカーを製造したに過ぎなかった。 箱型のボディとベンチシートに4つの木製の車輪を持つ、現代から見るとシンプルなこの自動車は、歴史的に見ればきわめて貴重である。馬車のようでありながら、馬具が全く必要ないのである。このように、オートモービルという移動手段の有用性は明らかだった。 130年前、この革新的な乗り物に興味を持ったのは、著名な顧客たちであった。1892年、DMGのオーダーブックには「モロッコのスルタン」と記されていた。DMGの最初の顧客として、ムライ・アルハッサン1世はダイムラーモータ … 続きを読む EV時代を迎えつつある今、エンジン車と電気自動車の歴史を振り返る