ホンダ ジェイド試乗記 ルックスと中身にいい意味でギャップのある新ジャンルカー

マニアック評価vol329

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このフォルムで3列シートを装備するニュージャンルカーのJADEに試乗した

3列シートのスポーティ・ミニバン、ホンダJADE(ジェイド)に試乗してきた。その外観からは3列のミニバンには見えないデザイン、運転席に座ると視界がすっきりとした広々空間があり、見た目とのいい意味でのギャップ満載のJADEだった。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>

■ポジショニング

JADEは全高1500mmに抑えた3列シートのミニバンで、新たなニーズを掘り起こす使命を持つモデルだ。スポーティミニバンはストリームがあり、トヨタではウイッシュがあった。このマーケットのユーザーニーズは次第に変化していると、マーケティングしている。

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全高を抑えて立体駐車場にもアクセスできるJADE

面白いのはトヨタでは、ミニバンとしてのスペースを重要視するユーザーはヴォクシー/ノア/エスクァイアへ、スポーティな走りや乗り心地などを求めるユーザーはSUVなどへシフトしているとみている。逆にホンダではステップワゴンユーザーはトヨタ同様にスペース重視のユーザーだろうが、スポーティな走りを求めるユーザーに対して、ユーティリティを持たせつつ満足度の高いモデルとして投入してきたのが、このJADEになる。

ライバルはほぼなく、あえて比べるとしたらスバルのエクシーガになるだろう。だが、それはステーションワゴンタイプに近く、3列であるという部分だけで、クルマが持つ意味合いは異なる。

JADEは走行性能、スタイリング、多人数乗車を基本性能とし、ストリームからの買い替えユーザーをはじめ、ステーションワゴン、セダン、ハッチ系ユーザーからも支持されるポジショニングとして投入されている。

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■インプレッション

基本性能とする走行性能では、パワーユニットに1.5L直噴DOHC i-VTECエンジンをベースとしたハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」を搭載。燃費は25.0km/Lをマークしている。パワーユニットはヴェゼルと共通としており、中国で販売しているガソリンエンジン搭載モデルは国内では販売しない。トランスミッションはモーター内蔵の7速DCTで、発進にはモーター駆動を使うユニークなシステムだ。

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スタート時に早びらきを嫌ったためか、やや反応が重く感じるセッティングにしている。したがって動き出しにややリニア感に欠けるのだが、制御領域なので意図するセッティングということだ。

またエンジンブレーキに相当するLポジションにシフトをすると、予想以上にエンジンブレーキがかかり、これもある意味ハイブリッドならではのフィールだ。ハイブリッドはバッテリーの充電状況によって回生量が変化し、そのため減速感も変化するのが一般的だったが、JADEではそこまで如実に感じるようなことはない。

また、車速にもよるが巡航走行中に5速から3速へのシフトダウンをイメージしてLモードを選択すると、2速へ落ちたのではないか?というほどエンジン音が高回転になる。でも大きな減速Gはなく、エンジン音と減速感のズレを少し感じる場面もあった。

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市街地ではアクセルを車速に合わせるように踏み込んでいくと、DCTらしく、そして滑らかに小気味良くシフトアップをしていく。加速する動きではコンセプト通りスポーティな反応で、ドライバーは気持ち良さを得られるだろう。しかし減速方向ではハイブリッドのためなのか、前述のように予測フィールとは違う音や減速感の場面があり、HEVの特徴と納得するものなのかもしれない。

ハンドリングは直進の座りがよく、ロングドライブや高速連続移動などでは安心感の高い運転感覚になる。さらにフロントウインドウからの視界がよく、すっきりとして邪魔なものがまったくない景色があり好ましい。

今回は運転席でしか乗り心地を体験できず、2列目、3列目のインプレッションが取れなかった。しかし、停止した状態でも3列目のシートスペースはどうみても狭い。が、「よくここまでスペースを確保できたものだ」と感心してしまう。2列目はシートレールがV字型に切られているので後方へ移動するほど中央に寄り、前方の視界が広がる。前後長も非常に長く、ゆったりとした広さがある。セダンとは比較にならない広さであり、ミニバンであることをしっかり認識する。

さらにシートアレンジもきちんとカバーされ、フルフラットのスペースを作るなどミニバンとしての基本性能をカバーしている。

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運転席では小さなピッチングがある場面があり、微小入力時のダンピング性能をもうワンランクあげてもいいと思った。もっとも路面状況による影響も大きく、常にピッチングが出ているということではない。

インテリアデザインでは、キャビンフォワードされフロントのダッシュボードが広い。また、かなり鋭角なAピラーの傾斜のデザインで、死角となるピラー根元には大きめの三角窓が付く(形状は四角だが…)。

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センターコンソールにはバッテリーや制御ユニットが満載され、言われてみるとダッシュボード高がある。しかしそれを利用しセパレート感へとつなげている。シフトレバーやレバー周りは艶のある素材を利用し、未来的な印象を受ける。ダッシュボードやドアパネルなどの仕上げでは、樹脂素材に高級感のある柄素材を上から貼り付けたもので、見た目はきれいに仕上がっている。

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セパレート感のあるコクピット。質感も高く上質なインテリアに仕上がっている

エクステリアでは真横からの印象とその中身のギャップが印象的で、多人数乗車をカバーするモデルには見えないステーションワゴン的なルックスだ。そして1500mmという全高は都会に住むユーザーにはありがたい寸法である。JADEは都市型をアピールし、スタイリッシュで先進的でありつつ、拘りをもったユーザーに響くクルマなのだろう。

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